鶴嶋乃愛(下) 考え過ぎることを趣味にする多感女子の未来の広がり
2020年09月09日 10:00
芸能
人は誰しも悩むのはつらい。悩めば悲観的にもなる。ところが、鶴嶋はそれを肯定的に捉えている。
「ネガティブになるのが悪いことだと思ってないです。『まあ、いいか』となって、それがどんどん増えて、生きていくことをこなしていくようになる方が嫌です。『まあ、いいや』と思えるのが大人になることなのかもしれないけれど、私は『まあ、いいや』と思いそうになると『いや、よくないでしょ』と正すようにしています。この多感な時期だからこそ、いろいろと思うこともあるので、そういう気持ちを忘れたくない。20代にはなりたくないです」
独特の感性だ。良く言えば芯の強い人、悪く言えば変わった人。自分の考えを曲げない性格は子供の頃からだったらしく、同世代の中で浮いていたのではないだろうか。
「めちゃめちゃ浮いてます(笑い)。だから、私と仲良くしてくれる友だちも結構、変わっていると思うような子が多いです。自分では変わっている自覚がなかったんですけど、取材で『変わってますね』と言われるので、そろそろ自覚して来ました」
変わった人ではあるが、会話をしていて全く嫌みがない。どちらかと言えば、ほのぼのとしていて、むしろ、人並み以上に親しみやすい。それは、一人っ子で親の愛情を一身に受けて育ち続けているおかげなのかもしれない。全身に豊かな愛情の膜のようなものがうかがえる。
「甘やかされて育ちました(笑い)。『イズ』を見てくれた時も『本当に可愛い』『演技が凄いね、乃愛』と言ってくれた。私的には、ほめすぎだよ、と思うけれど、そういうことを言ってくれる人がいると頑張れます。地元の友だちもそうですし、私の周りには、ほめてくれる人が多い」
イズとして、映画「劇場版 仮面ライダーゼロワン」(12月18日公開予定)の撮影を控えている。今後もモデル業と女優業を両立させていく意向で、新たな出演作は未定だが、演じてみたい役のひとつとして「狂気的な役」を挙げている。
「私が思い描く話はこうです。1人の女の子が誰かに殺される。私は、にこやかで周りから慕われていて『親友が殺されて悲しい』と言っている。だけど、実は私が殺していたという話。ミステリー小説が好きなんです」
読書を趣味とする文学女子で、高校時代の得意科目は「現代文」。オフィシャルブログに感性豊かな文章が並んでいるが、その個性を生かした小説を読んでみたい。
「内緒で書いてます。まだ誰かに見せたわけじゃないんですけど、昨年の冬くらいから、小説も書いているし、詩も書いています」
その作品を読む機会がいずれ訪れるかもしれない。まだ19歳で、未来は無限に近く広がっている。
「モデル業も女優業も、もっともっと頑張りたい。アニメが好きで、スタジオジブリが大好きなので、ジブリ作品の声もできるといいです。表現者として頑張っていきたい。これから、新しい魅力をどんどんお見せできたら、と思います」
次の一歩がとても楽しみな逸材だ。
◇鶴嶋 乃愛(つるしま・のあ) 2001年(平13)5月24日生まれ、高知県出身の19歳。13年、「第21回ピチモオーディション」でグランプリ受賞。同年からファッション誌「ピチレモン」専属モデル。16年から今年8月まで「Popteen」専属モデル。身長1メートル63。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。