藤井―広瀬戦終盤のドラマ “さばきのアーティスト”久保九段が解説
2020年11月03日 05:30
芸能
戦型は角換わり腰掛け銀になりました。戦型自体、先手が攻めて後手が守る展開になりやすく、先手の広瀬八段が網を破れば勝ちという将棋。形勢は二転三転しながらもイーブンへ戻るレベルの高い将棋だったと思います。
そして104手目△7一歩(A図)に広瀬八段は▲5四桂と銀を取って包囲網を築きましたが、▲4八金と角を取って自陣へ手を戻せば△7二歩▲8八王以下の勝ちでした。
さかのぼって102手目△4八角の局面は藤井2冠が劣勢です。広瀬八段の▲4七金であえて角が取られる状況にしてさらに△7一歩と金取りに。「どれを取りますか?」と相手に問うて局面を複雑化させました。すでに1分将棋の藤井2冠に対し、広瀬八段は残り7分。攻めもあるし受けも…と相手に選択肢を与えて悩ませ持ち時間を削る、ベテランのような勝負術と感じました。
将棋はいつの時代も最後に間違えた方が負けます。昨年、勝てば王将戦挑戦権獲得の大一番で戦った両者。今年も終盤にドラマがありました。