キムラ緑子「劇的ビフォーアフター」2代目ナレ“大役”に重圧も 番組の世界観「壊さないように」
2020年11月14日 11:00
芸能
キムラは1984年に旗揚げし、2010年の解散まで人気を誇った「劇団M.O.P」の看板女優。日本の演劇界を支える1人だが、13年後期のNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」の小姑役で映像の世界でも一躍ブレイク。“カメレオン女優”の異名の通り、数々の作品を彩っている。
――最初のナレーション収録を終えて。
「もともと私が好きな番組で、ずっと見させてもらっていました。だからナレーションが代わったことで、そこに気を取られたくなかったんです。『ビフォーアフター』といえば、加藤みどりさんの声がすごく印象にあるんですよ。あのちょっと硬くて明るい声が、たくさんの家族の人生を見守ってきたみたいな感じがして。私もいち視聴者としてずっと耳にしていたので、今はもう本当に一生懸命この世界を壊さないように守っていかなきゃいけないなと思っています」
「このナレーションって、すごいテンションが要りますね。番組を見ているだけだと、なかなか気づかないのですが、みどりさん、こんなにしゃべってらしたんだなって、驚きました。難しい用語もたくさん出てくるし。あの柱がどうなっていて、杭がどうなってみたいなことを話して、なるほどーって視聴者は聞いている。『ああ、だからこうなったのか』『ああ、すごいね』『ここをなくして、床がこうなったのか』っていう、たくさんの情報が、あの柔らかな番組の空気の中で淡々と流れていく。それが番組の醍醐味なんだけど、これ説明するの、めちゃくちゃ大変なんです(笑)。穏やかな話し方だけど、言葉で明確に伝わらないとダメなんですよね」
――いきなり、名台詞「なんということでしょう」にも初挑戦しました。
「もう、どうしようかと悩みました。もっとみどりさんのマネをしたかったけど、やっぱり全然マネできないっていうか。開き直って、自分流にしゃべったら、それも面白くていいのかなとも思いました」
――スタジオ収録の際、VTRを視聴したMCの所ジョージさんは思わず感心して拍手を送ったほど、キムラさんの「なんということでしょう」も見事な出来栄え。
「うれしいですね。所さんって、何ていうか、フワッと側にいてくれるっていうか。不思議な方ですよね。すごい人なのに、あんまり緊張させないっていうか。隣にいるお兄さんみたいな感じで。私、この番組にゲストで出演させてもらったことがあるんですけど、その時も温かく迎え入れてくださって。自分が見ていた番組だから、すっと入られたっていうか、その時が所さんとは初対面のはずなのに、ずっと昔から知り合いだった?って感じになって、すごく楽しかった思い出があります」
――演技とナレーションの違いは?
「確かに、ナレーションってお芝居とは違った難しさがありますね。最後の家族のシーンも、ナレーションは泣いちゃいけないでしょ。お芝居だったら、そこに自分の感情が入るんですけど、感情を入れちゃうと、泣きながらのナレーションになってしまう。それはできないから、とにかく1回VTRを最初からちゃんと見て、泣いておかないとダメなんです。事前にこんな流れかって整理しないと、感情が揺らいで、たぶん原稿が全く読めなくなったりする時があるんですよね。皆さんそうだと思いますけど、あんなに不便だったお家が匠さんのアイデアで、こんなに変わる。やっぱり夢を見る感じなんですよね。住んでいる住居、住んでいる方と同じ気持ちになって『よかったねー』とか『お母さん、ありがとねー』とか感動して、家族が新しい人生を歩み出すみたいな、そこにたどり着く感じがとても好きで、絶対泣きますよね。最近は、魔裟斗さんとか、渚親方(尼神インター)とか『ビフォーアフター工務店』の皆さんみたいに、みんなでリフォームやられているのもすごく楽しいですし。私も劇団やってて仲間たちと舞台の装置を作っていたので、もしかしてリフォームも自分たちの手でできるんじゃないのって、そう思いながら見るのも面白いですね」
――ご自身の家のリフォームは?
「私も自分の家があるから、こう直したい!ここで頼みたい!って思うんだけど、それほど不便な家でもないし、頼めないなってジレンマを抱きながら、番組を見ています。いつも匠のアイデアが満載で、本当にマジック、魔法を見る喜びがありますよね。だから私も刺激されて、実は古い空き家を探しているんですよ。今なら番組に携わらせていただいているから、初のナレーションからの依頼とか、やっぱりダメですか?(笑)」
――今後に向けて。
「私も皆さんと一緒にこの番組をずっと楽しんできた人間なので、これからも一緒に楽しみましょうって感じですね。本当にこの世界を壊さないように気を配りながら、でも皆さんが慣れ始めた頃に少しだけ自分らしさ、キムラらしさも出していけたらいいなと思います(笑)」