永瀬拓矢王座、全勝対決で豊島竜王下し5連勝 初の王将戦挑戦権に王手
2020年11月18日 05:30
芸能
宿命のかおりがするカードだ。6月21日から3カ月間にわたって繰り広げられた第5期叡王戦7番勝負は、いきなり千日手指し直しで開幕した。さらに第2、3局は連続持将棋(引き分け)と、将棋界に残る壮絶なシリーズとなった。永瀬は本来なら最終局となるはずの第7局を制し、3勝2敗と防衛に王手をかけながら、第8、9局でまさかの連敗。無念の失冠を味わった相手とはこの日の対局前まで6勝6敗と全くの互角。2カ月ぶりの再戦でささやかな復讐(ふくしゅう)を果たした。
「判断が難しい将棋で、先手(永瀬)の駒が少ないので、長期戦になると厳しいイメージ。じり貧にならないように指していました」
全勝対決を制して挑戦者争いの単独トップに立った。20日の最終局で広瀬章人八段(33)を下せば文句なしの全勝で勝ち名乗りを受ける。敗れても、豊島―羽生戦の勝者とのプレーオフ出場権は手中にしている。
隣室の対局で羽生が1敗を守ったため、豊島に敗れていればシード順の差で挑戦権は消えていた。それだけこの日の勝利は天と地ほどの落差があった。「厳しい戦いが続いているが、また頑張りたい」。挑決リーグ初登場で初挑戦へのチケット獲得は、もう目前だ。(我満 晴朗)