豊島竜王、羽生九段を撃破!劇的最終局、30日に永瀬王座とプレーオフ 王将戦挑決L
2020年11月21日 05:30
芸能
相手誘導で戦型は横歩取りへ。41手目▲4五桂と攻め込んだが以降、高飛車になった大駒を狙われた。「歩越し銀」は戦法として存在するが「歩越し飛車」は悪形の極み。「あまりうまくいってない。ずっと自信がなかった」と苦戦が続いた。
82手目△5九飛(第1図)と敵陣からだけではなく背後からも火の手が上がる。「かなり気持ち悪い形。ちょっとまずそう」。なおも辛抱の時間が続き、逆転を確信できたのは「最後の方。(自王が)寄りづらい形になったのかなと思った」と薄氷の勝利だった。
羽生とは、その通算100期が懸かった第33期竜王戦7番勝負でも対戦中。第3局後、羽生が無菌性髄膜炎と診断され入院した。12、13日に予定された第4局は規定により延期になり、羽生は17日の王将リーグで復帰した。
この間、2人の間では手紙のやりとりがあった。14日に退院した羽生が送ったのは、対局の延期を謝罪する内容。豊島は、羽生の気遣いに感謝する返信を速達で送った。17日、自身も王将リーグで永瀬との対戦があり、羽生と再会するまでに手紙を届けたいという思いがあった。対戦相手は敵であり、棋譜という作品を共につくり上げる戦友でもあった。
この日、永瀬とは別室での対局だったため、豊島がプレーオフ進出を知ったのは終局直後の取材時。「17日に負けてしまって、もう厳しいのかなと思っていた。自分なりに全力を尽くして頑張りたい」。2011、18年に次ぐ3度目の挑戦権獲得へ、言葉に力が宿った。(筒崎 嘉一)