漫画家・矢口高雄さんを悼む 2度の「もう描かない」…決意知り新作諦めた
2020年11月26日 05:30
芸能
矢口さんは愛娘の病死で「気力が湧かない」ことに加え、自身の前立腺がんの手術で「体力的に何日も座って描けない」ことが理由と語った。うなだれて話す姿から、新作はもう読めないと思った。
それが3年後の18年にスピンオフ作品「バーサス魚紳さん!」がスタートした。絵は立沢克美さんが担当し、矢口さんはアイデアを提供。取材を申し込むと前回とは違う生き生きした姿。発表前の物語を、コマ運びまで想像できるように細かく説明してくれた。思わず「先生も描きましょうよ」と愚問を投げかけ「私はもう描かない」と返されてしまった。きっぱりした口調にもう新作の絵は見られないと諦めた。それでもファンとして、絵は描かなくとも原案提供などの形で新作が出ることを期待していた。だが、それもかなわなくなった。今は寂しさをかみしめている。(岩田 浩史)