朝ドラ「おちょやん」 注目ポイントは「喜劇とは?」

2020年11月30日 12:00

芸能

朝ドラ「おちょやん」 注目ポイントは「喜劇とは?」
NHK連続テレビ小説「おちょやん」で千代を演じる杉咲花(C)NHK Photo By 提供写真
 【牧 元一の孤人焦点】30日にスタートしたNHK連続テレビ小説「おちょやん」の見どころの一つが「喜劇」だ。
 「おちょやん」は昭和の激動の時代に女優として活躍し、「大阪のお母さん」と呼ばれるようになる竹井千代(杉咲花)が主人公。千代は大阪・南河内の農家で生まれ、9歳で道頓堀の芝居茶屋に奉公に出た後、喜劇女優として少しずつ成長していく。

 制作統括の櫻井壮一チーフプロデューサーは「このドラマは喜劇が題材の一つ。では、喜劇とは何か?言葉では喜劇と言うが実は分かっているようで分かっていないかもしれない」と話す。

 確かに、あらためて問われてみると、正確に答えられる自信がない。子供の頃にテレビで藤山寛美さんの舞台を見た記憶があり、「日本の喜劇王」と言われた榎本健一さんの姿も映画で見たことがあるが、最近は喜劇に接する機会がほとんどなくなっている。

 喜劇とは?ネットの広辞苑で検索してみると、「筋立てや登場人物が滑稽で、観客を楽しませ笑いを誘う劇。身近な生活を題材とし、風刺に満ち、円満な結末となる」などと記されている。

 櫻井氏は「喜劇は、日露戦争の頃、戦争を題材にしたお芝居をコメディー的にやったのが始まりとされている。昭和に藤山寛美さんが活躍していた時代は、毎日、劇場で演じられ、テレビでも流れていた。今でも松竹新喜劇、吉本新喜劇などがあるが、喜劇と銘打つものが少なくなっていて、多くの人には『コントの延長』『笑わせる芝居』くらいのイメージしかないのでは」と語る。

 「おちょやん」は女優になった千代が劇中で喜劇を演じるとともに、ドラマ全体も喜劇になっている。二重構造の喜劇だ。

 櫻井氏は「登場人物たちが『喜劇とは何?』『本当の喜劇とは?』などと問い掛けながら物語が進んでいく。回が進むにつれて、見ている人にも、喜劇とは何かということが分かって頂けると思う」と話す。

 ドラマでは、お笑いタレントの星田英利が、喜劇界のアドリブ王・須賀廼家千之助を演じる。千代役の杉咲は「星田さんとご一緒していると、すごい!と感じます。ツッコミが早い。撮影していない時でも、みんなで常にツッコんだりボケたりしています。その姿も面白い」と明かす。

 撮影現場には笑いを生み出す空気が充満している様子。令和の時代に作り出される喜劇に注目したい。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。
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