元悪役レスラー「キラー・カーン」 ひき逃げで書類送検 自転車で20代女性はねケガさせる

2020年12月10日 05:30

芸能

元悪役レスラー「キラー・カーン」 ひき逃げで書類送検 自転車で20代女性はねケガさせる
悪役レスラーとして活躍した小沢正志氏 Photo By スポニチ
 東京・新宿で歩行者を自転車ではねて負傷させ、そのまま逃走したとして、警視庁新宿署が9日、重過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、「キラー・カーン」のリングネームで活躍した元プロレスラー小沢正志氏(73)=東京都新宿区=を書類送検した。署によると、小沢氏は調べに「ぶつかったのは分かったが、そのまま自分が経営する居酒屋に行ってしまった」と話したという。
 書類送検容疑は10月18日午後5時ごろ、新宿区百人町の路上を自転車で走行中、20代の女性と衝突して重傷を負わせ、救護措置を取らずに走り去った疑い。女性は前歯を折るケガ。防犯カメラの映像などから浮上した。

 小沢氏はこの日、関係者を通じて「私の不注意から被害者の女性の方にはご迷惑をおかけしてしまい深く反省しております。全ては新宿警察署でお話しした通りです」などとするコメントを文書で発表。ところが、午後5時すぎ、新宿区で経営する「居酒屋カンちゃん」に自転車に乗って姿を見せると、コメントとは全く異なる主張を展開。ニュースで書類送検されたことを知ったとし「俺は73年間、道交法を守って生きてきた。なぜこんな騒ぎになっているのか分からない」と時折声を荒らげながら話した。

 小沢氏によると、自転車をこいで現場の歩道から路地に入ろうとした。その際に何かにぶつかったのは認識したが、そのまま約5メートル先にある店の軒先に自転車を止めて営業を行った。その3日後に警察が店に来て歩行者の女性がケガをしたことを告げられたという。調べに「俺の自転車で引っかかって転んだなら悪かった」と反省の弁を述べ「女性がうちの店に来て飲み食いしたらおごるから」などとも伝えたという。

 一方で「ケガをした写真を見せてもらえないので本当にケガしているかどうかは分からない。被害者は俺ですよ」ともぶちまけた。途中、店内にこもってテーブルに突っ伏してすすり泣く一幕もあり、最後には「大声出してすみません」と頭を下げるなど取り乱した様子だった。

 新潟県出身の小沢氏は大相撲力士からプロレスラーに転身し、モンゴル人との設定の悪役レスラーとして海外でも活躍。引退後も映画やテレビに出演した。

 《アンドレの足を折った男》キラー・カーンは1970~80年代に全米マットでトップヒールとして人気を博した。米国で弁髪にヒゲを蓄え、毛皮のベストを着込んだモンゴル人のキャラクターを確立。日本では新日本プロレスや全日本プロレスで活躍した。全盛時は1メートル95、140キロの巨体から繰り出すモンゴリアンチョップとダブルニードロップが必殺技。奇声を上げながら技を叩き込むスタイルでアルバトロス殺法と呼ばれた。80年代のアンドレ・ザ・ジャイアントとのスーパーヘビー級同士の抗争では、アンドレの足をニードロップで骨折させた“逸話”で人気が急上昇、世界的メインイベンターとなった。長州力が率いるジャパンプロレスの分裂騒動で人間関係に嫌気がさして87年にプロレスを廃業。飲食店経営に乗り出した。

 《自転車でも刑罰》自転車による人身事故は過失致死傷罪や重過失致死傷罪に問われることもある。ひき逃げすれば、道路交通法の救護義務違反を問われ、併合罪で懲役6年が刑の上限となる。また、自転車の飲酒運転も違法。呼気1リットル当たり0・15ミリグラム以上のアルコールが検出されれば酒酔い運転で、5年以下の懲役か100万円以下の罰金。同0・15ミリグラム以下の酒気帯び運転なら罰則はない。2007年、北海道で自転車の70歳女性が83歳の女性歩行者と接触、転倒させて足の骨を折る3カ月のケガを負わせたひき逃げ事故では、懲役10月、執行猶予3年の判決が言い渡された。

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