家元談志の貴重な公演チラシに興奮!
2020年12月17日 08:00
芸能
六代目三遊亭円生、林家彦六、表紙を飾っている六代目春風亭柳橋はじめ、五代目柳家小さん、十代目金原亭馬生、金原亭馬の助、初代林家三平、古今亭志ん朝、五代目三遊亭円楽、立川談志、五代目春風亭柳朝、三代目三遊亭円歌、四代目三遊亭円馬、五代目古今亭今輔、三代目三遊亭円右、四代目春風亭柳好ら、色物の芸人も含めると60人以上の高座の表情が鮮やかに活写されている。おまけに楽屋でいなり寿司をつまむ十代目柳家小三治のオフショットなどもあって実に楽しい。
サブタイトルにあるように“昭和五十年頃”に活躍していた落語家たちが主役だが、残念ながら、そのほとんどが鬼籍に入っている。自然と懐かしさがこみあげてきたが、2011年11月21日に75歳で逝った立川談志もそんな1人。
ページをめくっていると、1枚のチラシが挟まっていた。談志の独演会の案内だ。
「昭和60年2月5日(火)午後6時30分 釧路市公民館
昭和60年2月6日(水)午後6時30分 帯広市民会館」
さすが釧路の古書店に置いてあっただけある。ローカル色たっぷりで、思わずニンマリしてしまった。
チラシの裏に
「てめえの欲望に忠実に生きろ。そのためには、てめえを大事にしろ。てめえをてめえで好きで愛して惚れてやんなきゃ、駄目だぜ、おい。」
という家元のコメントが載っている。
真打昇進試験の結果に異を唱えて落語協会を脱会し、落語立川流を設立したのが1983年、つまり昭和58年。それから2年後の独演会。故郷を離れ、既に東京で記者稼業をスタートさせていた筆者だが、この会は見てみたかった。地方公演の開放感から出て来る本音もあったに違いない。とりわけ、マクラでどんな話を披露したのか興味がわく。
ちなみに別な古書店にはかつてこんなチラシも置いてあったらしい。1979年11月17日の釧路市民文化会館(現コーチャンフォー釧路文化ホール)の落成記念で行われた落語名人会。小さん、志ん朝、談志が勢ぞろい。他にも柳家さん喬、古今亭志ん八(後に右朝に改名)の名前が見える豪華版。タイムスリップしたくなった。