石原慎太郎氏 なかにし礼さん悼む「才能ある人だった」 一番好きな歌は「石狩挽歌」
2020年12月26日 05:30
芸能
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出会いのきっかけは裕次郎さん。63年、静岡県・下田のホテルで一組のカップルに偶然目を留め、酒を1杯ごちそうした。それが、なかにしさん夫妻だった。シャンソンの翻訳をしているというなかにしさんに「自分で作詞をしてみろ」と勧めた、その一言が人生を変えた。
慎太郎氏との交流も始まり、00年の直木賞の受賞の瞬間は共に迎えた。「控室で一緒に待っていた。決まった時は抱き合って喜んだ。あの時の彼の笑顔は今も覚えている」
作家と作詞家。同じ言葉の表現者として認めていた。「シャンソンの翻訳をしていたのでフランス語に堪能。それがしゃれた文句につながった」。短い言葉と独特のリズムと表現で、情景を活写する卓越した才能。慎太郎氏が一番好きな歌は「石狩挽歌」という。
「素晴らしい歌。僕も長く北海道にいたからね」。慎太郎氏も幼少期を小樽で過ごしている。同曲は、兄の事業失敗で赤貧時代を過ごしたなかにしさんの原体験。「彼も幼い頃はひどい目にあったようだ。お兄さんが財産を食いつぶして苦労した」と、波瀾(はらん)万丈の分厚い人生が創作活動の根底にあることに思いを寄せた。
「同年代の物を書く人が減った。私ももうすぐ行きますから」。最後にもう一度会いたかった。その思いが言葉にあふれ出ていた。