浜崎美保 人に寄り添う美声

2021年01月27日 08:30

芸能

浜崎美保 人に寄り添う美声
人に寄り添う美声の持ち主・浜崎美保(撮影・おやまめぐみ) Photo By 提供写真
 【牧 元一の孤人焦点】TOKYO FM「Skyrocket Company」のパーソナリティー・浜崎美保(37)が、今月からレギュラー化したBS朝日「東京ベランダストーリー」(土曜前10・00)のナレーションで新たな魅力を発揮している。
 人の心を癒やす美声の持ち主。自宅ベランダを有効活用する人々を取り上げる新番組ではラジオとは少し異なる声で楽しませる。

 浜崎は「声のトーンをそれぞれのドラマに寄せています。ベランダはその人の人生が表れる場所。この番組に登場するみなさんは東京の限られたスペースで自分がやりたいことを表現している。そこにドラマを感じます。その人たちのドラマによってBGMも変わります。私は映像を見て、音楽を聞いて、最終的な自分の気持ちを込めて読んでいます」と話す。

 ナレーション収録前に決められているのは、読む文章と制限時間だけ。どのように読むかは浜崎の裁量に任されている。幸せそうな内容には明るい声、重そうな内容には落ちついた声…。同じ番組でも、さまざまな声を自分の感覚で使い分けることになる。

 演出の大橋圭史氏は「『心地よい音楽とナレーション』を目指そうと思い、当初からナレーターは女性と考えていた。『聞くと脳内でα波が出るような声』の持ち主は誰だろう?と、作家の森泉氏と話し合っていたところ、すぐに、お互いにラジオで知っていた浜崎さんの名前が出た。浜崎さんのナレーションを入れて、より番組の世界観がハッキリと見えた気がする。収録の際、私自身が聞き入ってしまい、キューボタンを押し忘れてしまうことが多々ある。そのくらい心地よい声」と明かす。

 浜崎が学生時代に目指していたのは、歌って踊る人。地元・鹿児島の事務所でレッスンにいそしんだ後、テレビやラジオに出演するようになった。

 浜崎は「最初は『ナレーターって仕事があるんだ?』という感じ。初めて地元でナレーションの仕事をした時は『変な声』と違和感を覚えました。昔は、ただ必死に読むだけ。視野が広がって『これを書いた人がいる。これを受け取る人がいる』と考えられるようになったのは、たくさんお仕事をさせていただくようになってからです。今はナレーターに徹する作業がすごく好き、誰かが生んだ言葉を私が伝える作業がすごく好きです」と話す。

 好きになったきっかけがある。6年前に担当したチョコレートのラジオCM。収録現場にいたコピーライターは当初、浜崎のナレーションの力量を疑う様子だったが、収録が終わると、できばえに満足そうな様子を見せた。そのCMの音声はラジオで流れただけではなく、当時、クライアント企業のウェブサイトにも採用されたという。

 「誠実に、気持ちを込めてやると伝わるんだと思いました。声だけでも、伝わるものがある。ナレーションは大事な仕事だという自覚がわきました」

 4年前にはBS朝日「ママをたずねて三千里」のナレーションを担当。ドキュメンタリー番組で、誰かの人生に自分の声を重ねる楽しさを知った。

 「私は個人的にドキュメンタリーが好きです。いま生活している人の人生を伝えたい。その人が一般の人の場合、視聴者には先入観がない。そこに声を乗せるのは責任重大ですが、私はやりたいと思います」

 人に寄り添うその美声で、自分のことを語ってもらいたいと思う人は、きっと、多いに違いない。今後ますます浜崎の活躍の場は広がりそうだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。
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