松井玲奈 小説2作目「累々」発売前異例の重版で大注目、書店員「胸がざわめく」

2021年02月14日 05:30

芸能

松井玲奈 小説2作目「累々」発売前異例の重版で大注目、書店員「胸がざわめく」
小説「累々」のトークイベントを行った松井玲奈(撮影・chihiro.) Photo By 提供写真
 女優松井玲奈(29)が13日、小説家として2作目となる「累々」(集英社)の発売記念トークイベントをオンラインで行い、スポニチ本紙の取材に応じた。1月26日の発売前から重版がかかるなど、注目を集めている。
 2019年のデビュー作「カモフラージュ」以来、2年ぶりの今作は連作の恋愛短編集。「人間が持つ多面性」をテーマに、相手によってさまざまな顔を使い分ける23歳の女性を軸に描いた。

 着想のきっかけは、対価をもらって男性とデートをするパパ活女子のSNS。「パパや家族、友達など、相手によっていろんな顔を使い分けている。それがセンセーショナルに映った」と明かす。心情の微妙な変化を繊細に表現し、恋愛シミュレーションゲームの要素を取り入れるなど、仕掛けにも凝った。

 文芸書が発売前に重版が決まるのは「極めて異例のこと」(版元の担当者)という。読書家の多い書店員からも好評で「読み進めていくほどに胸のざわめきが激しくなる」「夢も希望もある新感覚恋愛小説」などと感想が寄せられ、松井は「私自身も本が好きで、お店で書店員さんのおかげで新しい本に出合えている。本当にうれしいです」と喜んだ。

 文学界では、昨年12月に男性アイドルグループ「NEWS」の加藤シゲアキ(33)の「オルタネート」が直木賞候補に選ばれ、大きな話題になった。SKE48で活躍した松井も「ビックリした」といい、アイドル出身の小説家として刺激を受けた様子。近年は芸能人の書いた小説が話題になることも多く、「本に触れるきっかけがなかった方にも楽しんでもらえるのはうれしいこと。私も書き続けて、読書体験のきっかけになるような作品を作っていけたら」と意欲を見せた。

 自身は文学賞について「いつかはそういう評価を頂けたらうれしいですけど、まだまだ力が足りない」と語る。ただ今作で評価を高めているのは事実。次に見据えるのは長編小説で「明るくて前向きな、ポップな物語を書きたい」と意気込んだ。

 ▽累々(るいるい) 5章の恋愛短編で構成される連作短編集。それぞれが独立した短編ながら、彼氏にプロポーズされた23歳の小夜(さや)を軸に、全体を通してつながる物語。セフレ、パパ活など刺激的なテーマを扱っており、さまざまな場面で女性が使い分ける顔を豊かに表現している。タイトルの「累々」には「重なっていく」の意味があり「人間は経験したことや出会いが積み重なってできている」という意味で名付けた。

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