東野絢香 朝ドラ「おちょやん」撮影で本番前から号泣
2021年04月07日 10:30
芸能
東野は「1月6日から撮影が始まり、最初が大阪大空襲後のシーンでした。セットで本当に燃えているところや、エキストラの子供がはだしでドロドロになって歩いているのを見て感じるところが大きかったです。燃えているにおいがして、すすが飛び散っている。撮影までは現実味がなかったのですが、その場所にいると、五感で実感できました」と話す。
今月5日の放送では遺体安置所で義父母の遺体と対面し、7日の放送では夫の福助の死亡通知を受け取った。
東野は「台本を読んで、壮絶だと思いました。仕上げた状態で撮影に臨まないと、良いシーンにならないと思いました。年明けから、そのシーンの撮影だったので、年末は人に会わないようにして、年越しも自宅で1人でした。義父母、夫が亡くなり、糸が切れて空っぽな感じ。体験したことのない状況なので、孤独に慣れようと思い、1人でいる期間を長くしました」と明かす。
強く印象に残るのは、遺体安置所の場面の撮影。本番前から感情がこみ上げてくるのを抑えきれなかったという。
「遺体を見るのに耐えきれなくなって離れるシーンは、カメラが回る前から号泣していて、号泣したまま撮影が始まりました。これまでも撮影中に感情が高まることはありましたが、感情が高まった状態から撮影が始まったのは初めてでした。その場所や、そこにいる人たちからいただくものが多かったです。追いかけてくれた千代、自分の夫を探している人、遺体につまずいている人、ランドセルを背負い、はだしで歩く子…。自分の周りに全くうそがないと感じ、それに助けられました」
年末からの入念な役作りも心に大きな作用を及ぼしたに違いない。東野の感受性の豊かさがドラマに生かされた形だ。
これまで物語のカギになって来たのが、福助のトランペット。みつえは最初、邪険に堀に投げ捨てたが、その後、いくつかのドラマを生み、持ち主を失った今、大切に部屋の机の上に置かれている。
「私も最初はこうなると思っていなかったから、何も考えずに投げていました。みつえもその時は何も考えていなかったから、それで良かったのだと思います。福助が出征してからは、トランペットで福助に思いをはせていました。大切な人の大切なもの、みつえにとっても大切なもの、それを守るのが自分の役目だと思っていました」
トランペットはどうなるのか。今後の見どころの一つになりそうだ。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。