徳重聡 17年ぶりの石原裕次郎さん役 「太陽は奥さんかも」

2021年04月15日 09:59

芸能

徳重聡 17年ぶりの石原裕次郎さん役 「太陽は奥さんかも」
NHK・BSプレミアムのドラマ「裕さんの女房」で石原裕次郎さんを演じた徳重聡(C)NHK Photo By 提供写真
 【牧 元一の孤人焦点】NHK・BSプレミアムのドラマ「裕さんの女房」(17日後9・00)で、昭和の大スター・石原裕次郎さんを演じた俳優・徳重聡(42)がインタビューに応じた。
 「裕次郎さんは晩年、肉体的にも精神的にも本当に大変だったと思います。大変だったけれど、すてきな人生だったと思います。このドラマで、そう感じていただけるのでは」

 小説「時代屋の女房」などで知られる作家・村松友視氏(81)の著書が原作。裕次郎さんの妻・まき子さん(87)の視点から、裕次郎さんの波瀾(はらん)万丈の人生や夫婦の愛情物語が描かれる。

 「裕次郎さんは人のために生きて来た人だと思います。石原プロの人たちのため、自分のファンのため、日本人のため、そして、当然、まき子さんのため。裕次郎さんには、自分との結婚で、あれだけの大女優を引退させてしまったという思いがあったでしょう。一方、まき子さんは温かく大きな愛で裕次郎さんを包み続けました。それは現在進行形だと思います」

 自身の芸能界デビューの端緒が裕次郎さんに関わること。2000年に「オロナミンC『1億人の心をつかむ男』新人発掘オーディション~21世紀の石原裕次郎を探せ!~」で応募総数5万2005人の中からグランプリに選ばれた。

 04年のドラマ「弟」(テレビ朝日)に青年時代の裕次郎さん役で出演。今回は17年ぶりの裕次郎さん役となり、青年期から晩年期まで演じた。

 「あらためて、凄い人の名前を借りてこの世界に入ったんだと感じました。前回はグラスやタバコの持ち方、スーツの着方、歩き方、立ち方など、一つずつ裕次郎さんを意識しましたが、今回はそこから入るのはやめました。今の自分の年齢で大学生の頃の裕次郎さんを演じられるか、少し不安でしたが、若い頃から演じて精神的なバランスとして良かったです。晩年を演じることにはかなりプレッシャーがありました」

 ドラマでは裕次郎さんのプロデューサー的側面も描かれる。石原プロ製作の映画「黒部の太陽」で、当時存在した「五社協定」の壁を壊して名優・三船敏郎さんとの共演を果たすなど、裕次郎さんは常識を打ち破る行動を続ける。

 「裕次郎さんが作った映画には明確なメッセージを感じます。日本人に対するエール、外国人に対する感謝、自分たちが生きていく土台を作ってくれた人たちへのオマージュ…。このタイミングで映画を作らないと伝わらないという緻密な計算も感じます。自分の後の人たちが歩みやすい道を作ることも考えながらやって来たのでは」

 撮影の終盤に東京・成城の石原邸でロケ。まき子さんを演じる女優・松下奈緒(36)らと、庭でのバーベキュー場面に臨んだ。

 「撮影が終わった後、まき子さんにお会いしました。建物の中からしか見たことがなかった庭に初めて出たので『広いんですね!』と感想をお伝えして、自分の近況報告をさせていただきました」

 この物語の主人公はまき子さん。裕次郎さんのためにトップ女優の座を捨て去り、裕次郎さんをかたわらで見守り続け、晩年の闘病生活を献身的に支える。

 「みなさんは裕次郎さんのことを太陽の人と思っているかもしれません。でも、実は、裕次郎さんは月で、奥さんが太陽なのかもしれません。そう感じるという点で、このドラマは初めての作品だと思います」

 裕次郎さんが亡くなってから34年。秘められていた実像を徳重らが浮き彫りにする。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。
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