東大卒初の真打ち、春風亭昇吉 来月1日から昇進披露興行“落語界の香川照之になる”その心は――

2021年04月20日 06:05

芸能

東大卒初の真打ち、春風亭昇吉 来月1日から昇進披露興行“落語界の香川照之になる”その心は――
笑顔でポーズを決める春風亭昇吉。落語界では初となる東大卒真打ちとしてマルチな活躍を目指す(撮影・会津 智海) Photo By スポニチ
 落語界で初めて東大卒の真打ちに昇進することになった、春風亭昇太(61)一門の春風亭昇吉(41)が来月1日から昇進披露興行を控え「しっかりと寄席にお客さんを呼べる落語家になりたい」と意気込んでいる。バラエティータレントや気象予報士、大学講師としてマルチな活動も続け、目指すは落語界の香川照之(55)だという。その心は――。(飯尾 史彦)
 前座で4年、二つ目で10年修業し、真打ちに昇進する昇吉。東大の友人は、企業法務の弁護士や製薬会社のコンサルタントなどで年収1000万~2000万円が当たり前の中、自身は10分の1ほどの稼ぎでもやりがいを感じてきた。

 「入門時に“落語は食えないぞ”って言われていたので平気でした。(柳家)小三治師匠の着物をたたんだり(桂)歌丸師匠のお茶を入れて高座返しをしたり、人が味わえないことができて貴重な時間でした」

 TBSのバラエティー番組「プレバト!!」での俳句査定をはじめ、インテリ落語家としてクイズ番組でも活躍中。2月の昇進決定後もバラエティー出演のオファーが相次いでいる。今後は本業により身を入れる一方で、タレントとしても「もっと頑張っていきたい。本業でもテレビでも活躍して師匠を喜ばせたい」と落語家と両立していく。

 岡山大を経て23歳で東大に入学し、1年生の夏に落語研究会に入部した。年に200~300席を聴く熱量で、3年の時に「学生落語の甲子園」と評される「全日本学生落語選手権・策伝大賞」で優勝。東大卒業時には顕著な成績を収めた学生に贈られる「総長大賞」を受賞した。

 「母ちゃんが“自分は高卒、パパは中卒なのに、息子が東大の卒業式で褒められるなんて”と喜んでくれました。今回の真打ち昇進も親孝行になったかもしれません」

 卒業後の07年に昇太一門に弟子入り。09年に昇太に「気象予報士の資格でも取ってみたら」と言われ、11年に資格を取得、昇太を「本当に取ってきた。すげえな」と仰天させた。これがフジテレビ「アゲるテレビ」(13年)での天気予報の仕事に結びつくと、その後はテレビで活躍する機会が増えた。

 目標は東大の先輩で俳優の香川だ。「香川さんといえば真っ先に浮かぶイメージは学歴ではなく、土下座のシーンとか俳優業の方。香川さんのように東大卒という看板が外れるような活躍をしたい」。TBSドラマ「半沢直樹」での名シーンを挙げ、歌舞伎役者としても名を上げる香川のような活躍を目指している。

 昇進披露興行は5月1日の東京・新宿末広亭を皮切りに7月まで行われる。昇吉は二つ目の10年で日本舞踊や音曲、俳句などに取り組んだ経験を踏まえ「踊りや三味線が入る音曲噺(ばなし)や、昇太一門ならではの新作、人情噺もやりたい。幅のある落語を自分の解釈でやっていきたい」と意気込んだ。

 ◆春風亭 昇吉(しゅんぷうてい・しょうきち)本名国枝明弘=くにえだ・あきひろ。1979年(昭54)10月29日生まれ、岡山県出身の41歳。岡山大に入学後、東大文科2類に合格。2年の時に策伝大賞の決勝に進出し、3年で優勝。07年に東大経済学部を卒業し、昇太一門に入門。11年に二つ目に昇進。NHK「サキどり↑」やテレビ朝日「超タイムショック」などで活躍。放送大学の非常勤講師も務めている。

 《小沢健二、高田万由子、菊川怜も東大出身》東大出身の芸能人ではシンガー・ソングライターの小沢健二(53)も有名。東大在学中に人気バンド「フリッパーズ・ギター」(87~91年)の前身となるバンド「ロリポップ・ソニック」を結成した。女優の高田万由子(50)は在学中に日本テレビのイベントコンパニオンとして活動。菊川怜(43)は2年生の時に都内でスカウトされ、モデルデビューしている。

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