思い出す人の波!あの伝説の映画がクリアになってよみがえる
2021年04月24日 14:35
芸能
それにしても初日は大変な熱気に包まれた。東京・有楽町マリオン内のメーン館「日劇東宝」を目指して早朝からマリオンをぐるりと囲むようにファンが長蛇の列。劇場側も開場時間を大幅に繰り上げ、加えて別の映画館も開ける緊急措置を執った。エレベーター、エスカレーターもフル回転で観客を劇場階に運んでいた。
「人の波波波 マリオン直撃 午前5時開場」と翌日のスポニチも大見出しで伝えている。作品は先の東京五輪が開催された翌年、1965年の鎌倉市稲村ケ崎を舞台に、20年に1度の台風によってもたらされるという伝説のビッグウエーブ「ジェーン」を待ち望むサーファーたちのひと夏を描いた青春ドラマ。主題歌の「真夏の果実」、挿入歌の「希望の轍」のほか、桑田監督が10曲以上を書き下ろし、音楽映画としても観客の心をつかんだ。
加勢大周、金山一彦、的場浩司、清水美沙らがメーンどころで出演していたが、みんな若かった。ダイハツミゼットが効果的に使われていたのを思い出す。筆者は「心地良いけだるさが魅力」と書いたが、350万人を動員し、東宝によると、配給収入18億3000万円を記録するヒット作となった。
「稲村ジェーン」の翌週、9月15日に初日を迎えたのが北野武監督(74)のメガホン第2弾「3―4X10月」だった。芸能マスコミは「桑田VSたけし」の構図で対決をあおる記事を連発。触発された?たけしも座頭市の扮装で現れた初日舞台あいさつで「(桑田作品の)いいところは音楽だけ。内容では圧倒的に勝ってます」と不敵に挑発したのは懐かしい思い出だ。
今回のブルーレイ&DVD化にあたり、桑田自身も「若気の至りの極致ともいえる作品」と自己分析したように、作品の出来に関しては当時の映画評論家のほとんどがたけしに軍配をあげた。それでもファンの支持(興行成績)は桑田の圧勝に終わった。
興収400億円突破が目前の「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」のブルーレイ&DVDも6月16日に発売される。五輪前の熱い商戦になる。