田村正和さん「できるものはやり尽くした」遺作は代名詞「眠狂四郎」
2021年05月19日 05:30
芸能
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撮影の取材に訪れた報道陣に「現代劇も時代劇も十分やった。やりたいもの、できるものは、やり尽くしたような気がする」と静かに語っていた。
18年ぶりに引き受けた「眠狂四郎」。テレビ局関係者は「この時の田村さんは声も出にくいようで、体も動かしにくそうに見えた」と振り返る。だが、愁いを帯びたマスクに着流し姿は美しかった。円月殺法を演じるのに3時間かけるなど、情熱が途絶えることはなかった。
関係者は「休憩時間にほとんど誰とも話をしていなかった。おそらく演じる時の体力、気力を温存していたのだろう。役に入った時の姿は本当に素晴らしかった」と話す。
同撮影所の創設者で往年の大スター阪東妻三郎の三男。「おやじがつくったこの撮影所の近くで生まれた。温かいものが感じられる」と尊敬する父のゆかりの場所で終えた仕事を満足そうに語っていた。
この後、周囲に「俳優の仕事はもういい」と打ち明け、この作品以降は表舞台から姿を消した。田村さんの俳優としての美学が貫かれた。