トレンド入り連発の「青天を衝け」、ファン心くすぐる“仕掛け”の裏とは?
2021年06月01日 12:49
芸能
いかにも大河らしい堤の迫真の演技が視聴者の心を打つと同時に、思わずSNSなどで共有したくなる細かい演出が光った。
NHKでは珍しく鮮血が流れる過激な場面もみられた。襲われた円四郎が「冗談じゃねえ」と血まみれで後ずさりしながら、やがて地面に這いつくばり息を引き取る。1974年に放送された往年の人気ドラマ「太陽にほえろ!」で松田優作さん演じるジーパン刑事の殉職シーンを連想させるのか、放送直後にはツイッター上で「太陽にほえろにしか見えない」「NHKでこんなに血が流れるんだ」などのコメントも見られた。
「青天…」では、ツッコみたくなってしまう演出や、ニヤリと笑える小ネタを随所に取り入れている。お馴染みとなった徳川家康によるナレーション。“五代様”ことディーン・フジオカ(40)演じる五代友厚が、朝ドラ「あさが来た」以来5年ぶりに同じ役で登場したのも、その一つ。来年放送の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のキャストを公式ツイッターで発表したのもネット上での拡散を意識してのものだった。
その背景には、様々な形でコンテンツを届けようとする同局の強い意識が働いている。昨年4月、インターネット上で地上波の同時視聴や見逃し視聴が可能なサービス「NHKプラス」をスタート。多用な視聴形態が選択可能となった。先日の定例会見でも正籬聡放送総局長が「いろんな視聴の在り方があると思う。視聴率そのものだけでなく、ネットでご覧になる方などの反響も聞いて番組作りに活かしていく」と発言している。
同局関係者によると、番組によってはSNS専門の担当者を設けているケースも多く、ドラマ以外でもネット上での話題性を徹底的に意識している。
ある民放関係者は「本来視聴率は広告を出稿するスポンサーへ営業をするために作られた指標。民放はどうしても数字に一喜一憂してしまうが、それにとらわれず自由な番組作りができるNHKはうらやましい」と語る。新たな時代に求められる番組作り。NHKの“仕掛け”に注目するとおもしろい。