AKB史上最長15年半在籍、峯岸みなみが“長寿”だった理由

2021年06月01日 15:30

芸能

AKB史上最長15年半在籍、峯岸みなみが“長寿”だった理由
AKB48のメンバー史上最年長15年半の活動に終止符を打った峯岸みなみ Photo By スポニチ
 峯岸みなみ(28)が、5月28日にAKB48を卒業した。05年12月8日のグループ発足時から在籍した最後の1期生。12年に卒業した同期の前田敦子らとは違い、15年半もアイドル活動を続けた。
 ここまで長く活動ができた理由は4つあった。

 (1)年少メンバー くしくも、この春はSKE48でも松井珠理奈(24)が、NMB48でも白間美瑠(23)と、「最後の1期生」が卒業(白間は5月29日の卒業コンサートが延期中)。3人に共通したのは、松井と白間は最年少、峯岸は下から2番目と同期の中で年少メンバーだったことだ。デビューが若かった分、当然アイドル寿命も長かった。

 (2)降格 前田や大島優子ら看板メンバーの神セブンでは無かった峯岸が、最も注目されたのは、13年2月の有名な「丸刈り謝罪事件」だ。“文春砲”で男性との交際が報じられると、直後に自ら頭を丸めてYouTubeで謝罪動画を公開した。

 「(人気絶頂の)AKBとファンに迷惑をかけてしまい、気持ちが動転している中で、お詫びをしなきゃと自分で刈りました」。強制された罰ではなかったが、衝撃度が強すぎて、非難の声が殺到した。

 とにかく、頭を丸めて、研究生(新人たち研修生)に降格して、ゼロから再出発。「実は当時、AKBでやれることはやれたかなって卒業も考え始めていたのですが、お手本であるべき1期生のくせに迷惑をかけてしまい、辞めるわけにはいかなくなってしまいました」。

 アイドル人生ゲームのすごろくは、ゴール間際まで来ながら、多額の借金を背負ってスタート地点に戻ってしまった。

 (3)指導者 ただ、辛くみじめなだけではなかった。情けなさと恥ずかしさで研究生チームに加わると、後輩たちは恋愛禁止令を破ったマイナス要素ではなく、歌とダンスの技量に着目してくれた。劇場公演でしか活動していない若手たちにとっては、同じグループ内でも峯岸は「テレビの中の雲の上のスター」だったのだ。

 教えを請われて、悩みも相談されるようになると、同期内では末っ子だった峯岸も、日に日に面倒見のいいお姉さんに成長していく。「思わぬところで自分の居場所が見つかって、若い子と一緒にがむしゃらにチームを作っていくことに『まだAKBで楽しめることがあった』って、気持ちも変化していけました」。

 (4)共感力 黄金期の仲間たちは、それぞれが長所を備えていた。前田はスター性、大島はファンを虜にする人間力、篠田麻里子は大人美女のファッションセンス、板野友美はギャル力、高橋みなみはリーダーシップ…。そんな個性派たちの中で、峯岸が培ったのは「共感力」だった。「何もなかった私だからか、逆にどのメンバーからも愚痴や悩みや本音を聞かされる立場になっていったんです」と笑いながら明かす。「成功体験のない私にできることは、ただ受け止めてあげるだけ。でも、それが良かったみたい」。

 その経験を生かして、後輩たちにも、上から目線で指導することは一切なく、まさに寄り添い型の上司になった。だから、年上から年下まで多くの人に慕われた。

 卒業コンサートを見守った秋元康総合プロデューサーは「あれだけの人が駆けつけたのは、これまで峯岸がどんなに悔しい、悲しいことがあっても、腐らずに仲間を祝福して、応援していた優しさの証し。君の優しさがAKB48をこれまで1つにしてくれていました」と褒めてくれた。

 振り返ると、数々の偶然が重なっての5651日ものグループ最長在籍記録樹立だった。ただ、挫折しても諦めずに、自ら存在価値を確立させた賜物でもある。

 最後の取材では、後輩たちへ「諦めてしまう気持ちも分かるけれど、それでも『みんな諦めるのが早いよなぁ』と思ってしまいます。私自身は、ここまで粘らなかったら、こんな幸せな卒業は絶対にできなかった。『そっか、峯岸さんもあれだけいて、やっとだもんね。私ももうちょっと踏ん張ろう』って思ってもらえたら」と、言葉を残した。

 痛みやみじめさを散々知り尽くした28歳。だから優しくなれる。今後も多くの人に慕われるだろう。ひょっとしたら、アイドル15年半の生活で、名誉や金以上の、最も尊いものを誰よりも豊かに手にしたのは、峯岸なのかもしれない。
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