渡辺に誤算「まるっきり考えになかった」、藤井の8筋垂れ歩に長考1時間23分

2021年06月07日 05:30

芸能

渡辺に誤算「まるっきり考えになかった」、藤井の8筋垂れ歩に長考1時間23分
藤井棋聖(手前)に敗れ感想戦で振り返る渡辺王将 Photo By 代表撮影
 【第92期棋聖戦5番勝負第1局 ( 2021年6月6日    龍宮城スパホテル三日月 )】 棋界No・1の策士が、策に溺れたのかもしれない。先手となって戦型選択の主導権を得た渡辺の選んだ作戦に藤井が追随。ペースを握ったかに見えたものの、藤井の放った8筋の垂れ歩を見て「まるっきり考えになかった」と、1時間23分の長考に沈んだ。直後に相手の飛車を獲得したが「時間をかけた割にいい手が指せなかった。あの長考したところが今日のポイント。その後、まずい変化になり、一気にダメになったのは残念です」と悔しげな表情を浮かべた。
 昨年の5番勝負で1勝3敗と完敗。だが「あの対戦で藤井さんの傾向が分かった」という。リベンジを期して予選を勝ち上がり、リターンマッチを実現させた。「今度の5番勝負で自分の立ち位置が分かる。試金石になるシリーズになる」と、棋士生命を半ば懸ける意気込みでこの日に臨んだ。しかし用意した作戦に致命的な誤算があった。感想戦では「どうやっても先手に勝ちがないですね~」とぼやくばかり。

 先手必勝主義者の渡辺が先手番を落とす苦しい立ち上がり。「もうちょっといい内容の将棋を指せるようにやっていかないと」と、第2局での修正を期していた。

 《05年竜王戦で初防衛》渡辺にとってのタイトル初防衛戦は、05年の第18期竜王戦だった。前年の第17期7番勝負を20歳で制し、翌18期は木村一基七段(当時)の挑戦を受けた。第1局は10月25、26日に福島県会津若松市の今昔亭で行われ、後手の渡辺が156手の激闘を制し先勝。以降3連勝のストレートで初防衛に成功した。その後は12年の第25期まで破竹の9連覇を達成している。
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