作品は永遠だ!惜しまれつつ逝った映画人への鎮魂特集

2021年07月26日 16:27

芸能

作品は永遠だ!惜しまれつつ逝った映画人への鎮魂特集
京マチ子さん Photo By スポニチ
 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】東京・京橋の国立映画アーカイブで7月20日に「逝ける映画人を偲んで 2019―2020」が始まった。19年1月1日から20年12月31日までの間に亡くなった70人以上の映画人にオマージュをささげる特集で、57作品が9月5日までの日程で上映される。
 俳優の敬称は略させてもらうことをまず断っておく。京マチ子(19年5月12日没、享年95)は「牝犬」(1951年)「雨月物語」(53年)「大阪の女」(58年)「濡れ髪牡丹」(61年)がラインアップ。渡哲也(20年8月10日没、享年78)は「愛と死の記録」(66年)「紅の流れ星」(67年)「前科・仮釈放」(69年)が組まれた。

 森崎東監督(20年7月16日没、享年92)は渡主演の「野良犬」(73年)と「黒木太郎の愛と冒険」(77年)が用意され、大林宣彦監督(20年4月10日没、享年82)は「日本殉情伝 おかしなふたり ものぐるほしきひとびとの群」(88年)と「ふたり」(91年)が上映される。

 志村けん(20年3月29日没、享年70)が出演した「鉄道員」(99年)や、内田裕也(19年3月17日没、享年79)が主演した「嗚呼!おんなたち 猥歌」(81年)のタイトルも見える。「鉄道員」は企画の坂上順氏、降旗康男監督、助監督だった佐々部清監督もこの間に他界。いずれも取材を通してお世話になったから余計に寂しさを覚える。

 この特集の素晴らしさは裏方として映画作りを支えた人たちにもスポットを当てているところ。例えばプロデューサーとして活躍した小林壽夫さん。滝田洋二郎監督の「僕らはみんな生きている」(93年)「シャ乱Qの演歌の花道」(97年)などの製作者として知られた。今回の特集では92年製作の「ありふれた愛に関する調査」が組まれた。奥田瑛二がしがない中年探偵に扮して主演した作品を調布のにっかつ撮影所で取材した記憶がある。荒井晴彦氏の脚本を榎戸耕史監督が演出した。ヒロインを演じた池田昌子が魅力的だった。

 日活を退社し、キティ・フィルムを設立した伊地智啓さんも彼岸に渡った。相米慎二監督を紹介してくれた恩人だった。今回は日活時代にプロデュースした「わたしのSEX白書 絶頂度」(76年)がピックアップされた。

 このほか、小林旭夫人の青山京子が主演した「弁天小僧」(58年)、宍戸錠主演の「拳銃は俺のパスポート」(67年)、梅宮辰夫主演の「花札渡世」(67年)、東映グループ会長だった岡田裕介氏が企画した「動乱」(80年)、カメラマン仙元誠三氏が撮影した「処刑遊戯」(79年)があるのもうれしい。先人達を大画面で偲ぶ好企画は長く続いて欲しいものだ。
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