藤野涼子 初出演の大河で「自分の気持ちを素直に出せるようになった」
2021年08月13日 09:30
芸能
「今までは、真面目な女の子を演じることが多かったんです。今回は1人の男性に自分の思いをぶつける女の子。自分の気持ちを100%出すような役は初めてだけれど、元々、そういう部分が素の自分にはあります。ていには、本来の私が出ていると思います」とほほえむ。
7月18日の放送では、ていが平九郎に「いつか、おめえを嫁にほしい」と告げられて感涙。気持ちを通じ合わせた2人が最後に、額と額を合わせて幸せそうに笑う場面が秀逸だった。
「おでこを合わせる場面は台本には書かれていなくて、現場でそうなったんです。あんなラブラブなシーンになるとは思いませんでした。ていとしても恥ずかしい気持ちだったけれど、私自身も照れました。でも、周りから『かわいくて、とても良いシーンだった』と言われて、うれしかったです」
平九郎を演じる岡田健史とはこの大河で初共演。リハーサルの時、それぞれの演技プランを確認し合うなど、良好な流れで撮影を進めている。
「岡田さんは陽気な人です。撮影の合間には、よく本も読んでいますね。それも、毎回、違う本。リハーサルの時は私が質問することが多くて、岡田さんが思っていることを聞きながら演じています。一緒に演じていて、やりやすい。素直な気持ちが行き来している気がします」
ていと平九郎が心を通わす場面は、とても自然な印象。そこには、岡田との円滑な関係性がにじみ出ているようだ。
大河出演は初めてだが、時代劇は主演映画「輪違屋糸里 京女たちの幕末」(2018年公開)などで経験している。
「小学生の頃から父親に『おまえの顔は昭和風で、今どきの顔じゃない』と言われていました。お芝居でかつらをかぶると、みなさんから『似合っている』と言われます。自分でも江戸時代や明治時代の女性を演じるのは楽しいです」
2015年に映画「ソロモンの偽証」で主演デビューし、翌16年に日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。17年にはNHK連続テレビ小説「ひよっこ」で朝ドラに初出演するなど、着々とキャリアを重ねてきた。
「『ソロモンの偽証』の全ての授賞式が終わった時、成島出監督に『次の目標は朝ドラ主演、大河出演だね』と冗談交じりに言われていたんです。だから、この大河の出演が決まった時、すぐに成島監督に報告のメールを送りました」
五輪中継のため休止していた「青天を衝け」は15日に放送再開。主人公の栄一が生涯にわたって信頼を置く妹・ていの登場は今後も続く。
「これまでは1人の男性を追いかける女の子という感じでしたが、これから、家を守る強い女性に成長していきます。ていが大人になっていく姿をみなさんに見ていただきたいです。自分の気持ちを素直にていに乗せて演じていきたいと思っています」
女優・藤野涼子の成長も楽しめる大河となる。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。