神尾楓珠「自分らしく」“七変化”――どんな役柄も新たな気持ちで 注目イケメン俳優は軽やか「無頓着」
2021年08月29日 10:00
芸能
「今でも忘れられないのが、子供のころに家族で行ったファミレス。テーブルに置いてあったタバスコをトマトジュースと間違えてグイッと飲んじゃった。その時、大変なことになったから辛いのは苦手。トラウマですね(笑い)」
アンケートの「嫌いなもの」の項目に必ず「激辛料理」と書く。理由を聞くと、幼いころのこんなエピソードを屈託のない笑顔で教えてくれた。
インタビュー中、繰り広げられたのは表情の七変化だ。質問を聞く時はクールな真っすぐなまなざし。話す時には長いまつげの下にある大きな黒い瞳が揺れる。陰りを帯びたり、温かみを見せたり、明るい光を放ったり。ドラマや映画の出演依頼が絶えない理由が分かった気がした。
16歳だった2015年に俳優デビュー。フジテレビ系「シグナル 長期未解決事件捜査班」(18年)、日本テレビ「3年A組―今から皆さんは、人質です」(19年)などで注目され、闇を抱えた学生から同性愛者の高校生、お調子者、ワイルド男子、等身大の男の子まで、さまざまな役柄を演じてきた。
「芝居は楽しい。自分の新しい表現とかが生まれてきたりするから。そういうこともできるようになったんだなって、成長も感じることができる」
俳優業の話になると、楽しんでいることが伝わってくる、はじけるような笑みが浮かび、見ている側もつられて笑顔になる。そんな人を引きつける表情が満載なのが最新書籍「神尾WHO’S?」。「趣味がない」という神尾のために、趣味探しが企画され、収録された。カクテル作りやキックボクシング、タロット、ギター、ネイルなどを体験。多岐にわたっているが、文字通り瞳を輝かせて取り組む姿が並ぶ。
「性格は無頓着。物事にそんなに興味がないので、自分から挑戦するのは得意じゃなくて、誰かに引っ張っていってもらわないと始まらない。だけど、やってみたらやってみたで楽しくできるんですよね(笑い)」
幼い頃に世の中に“激辛”が潜んでいることを知ったからか、チャレンジの領域に自ら手は伸ばさないが、その分、目の前の事柄や仕事に対して肩に力を入れずに向き合い、素直に楽しめる。神尾の「無頓着」は物事に執着することなく、新たな気持ちで臨む姿勢のようだ。生きやすくなるヒントとして「鈍感力」がかつて注目されたが、令和では「無頓着」が重苦しい時代を軽やかに生きるすべになるかもしれない。
「どういう俳優になりたいとかは特にないんです。自分らしくいけたらいいな。それが続けばいいなあと思っています」
既存のものに味付けするのではなく、自らが激辛にもマイルドにも変化する。作品ごとにどんな姿で登場するのか。味わいはきっと深い。
◇神尾 楓珠(かみお・ふうじゅ)1999年(平11)1月21日生まれ、東京都出身の22歳。2015年8月放送の日本テレビ「24時間テレビ」スペシャルドラマで俳優デビュー。18年のTBS系「アンナチュラル」第7話で演じた高校生役で存在感を放ち話題に。19年のTBS系「左ききのエレン」で初主演。趣味はサッカー、カラオケ。1メートル74。血液型O。
《素の表情満載》「神尾WHO’S?」ではテレビ情報誌「TV LIFE」に2020年4月から21年3月まで連載した趣味探し企画の総集編を収録。さらに、20種類の趣味候補の中からギターを選びギター作りからマンツーマンレッスンを今回の書籍化のために体験。ほかに祖母の家があったという思い出の岩手県一関市を案内したり、親友の俳優伊藤あさひ(21)との山梨旅行も加えた。「あさひといる時の自分を外から見たことがなかったので、こんなに笑っているんだって思った」と自身も驚く素の表情が詰まった一冊になった。
《フジテレビ系「顔だけ先生」主演、型破り教師役「気負わずに」》神尾は10月9日スタートのフジテレビ系「顔だけ先生」(土曜後11・40)で主演を務める。演じるのは「顔は満点、中身は赤点」というポンコツ先生。問題が山積みの高校に現れた好きなことだけに集中する、空気が読めない非常勤講師だが、生きることの楽しさを教えてくれる。「先生役でオファーを頂いた時は早いなと(笑い)。先生らしくとか、気負わないでやろうと思いました」と話した。どんな型破りな教師が生まれるのか楽しみだ。