松竹「ある男」で3大映画祭へ殴り込み 妻夫木聡主演の自信作「コンペティション部門」への出品狙う
2021年08月31日 08:00
芸能
松竹関係者によると第70回読売文学賞を受賞した平野啓一郎氏の同名小説を映画化するにあたって「製作陣は最初から“海外映画祭を狙います”と言って企画を通した」という。
10年の「悪人」がモントリオール世界映画祭のコンペに選ばれるなど海外経験も豊富な妻夫木を主演に迎え、さらに18年のカンヌでパルムドール(最高賞)を受賞した「万引き家族」の安藤サクラ(35)を起用。さらに、16年のベネチアで、革新的な映画を対象とする「オリゾンティ・コンペティション部門」に「愚行録」がノミネートされた石川慶監督がメガホンを取る。
物語は、妻夫木演じる弁護士が、安藤演じるかつての依頼者から亡くなった夫の身元調査を頼まれ、正体を追っていくヒューマンミステリー。物語の鍵を握る亡くなった夫の役には窪田正孝(33)を起用。ほか清野菜名(26)、眞島秀和(44)、小籔千豊(47)、仲野太賀(28)、真木よう子(38)、柄本明(72)と豪華キャストが並ぶ。
3月1日に撮了。妻夫木は「見てくださった方にとって、この作品が人生の道しるべのような存在になるのであれば幸せ」と手応えを語る。松竹のプロデューサーは「日本独特の問題も描いている作品。どのように海を渡って海外の観客の胸に響くのか、とても楽しみです」と話している。最高賞の栄誉にまで届くか、期待が高まる。
≪カンヌでは11年、ベルリンでは05年出品≫松竹作品の3大映画祭コンペティション部門出品は、カンヌでは11年に三池崇史監督の「一命」、ベルリンでは05年に北野武監督の「TAKESHIS’」が直近。賞の獲得は03年ベネチアで北野監督が「座頭市」で日本人51年ぶりの監督賞を受賞している。松竹で最高の成果を収めたのは、97年のカンヌでパルムドールを受賞した今村昌平監督の「うなぎ」。約25年を経て「ある男」が肩を並べられるか。