乙武洋匡氏 5日決勝、男子車いすバスケ躍進支える“運動量”と“新旧融合”
2021年09月05日 05:30
芸能
2つ目は若手の成長だ。リオ大会では、“ダブルエース”と言われた藤本怜央と香西宏昭を抑えられると、途端に攻撃の手数が少なくなってしまっていたが、今大会は違う。古沢拓也や赤石竜我ら、4年前のU―23(23歳以下)選手権で4位に食い込んだメンバーが6人も代表入りしており、戦力の底上げが図られた。なかでも鳥海連志は新エースに名乗りを上げるほどの活躍で、得点源となっている。
3つ目は海外リーグでプレーしてきたベテラン勢の存在だ。リオでの主力だった藤本と香西は今大会も健在。彼らが長年にわたって培ってきた経験がチームの苦境を救う場面を何度も目にしてきた。ベテランと若手が融合し、かつてないほどの選手層になったことで、日本はこまめな選手交代を繰り返し、終盤に向けた体力温存を図ることができている。準決勝の逆転劇の理由もここにある。
ロンドン9位、リオ9位。だが、香西はチームの手応えについて、こう語っていた。
「前回の世界選手権では初めてトルコに勝ち、グループリーグ1位通過を果たした。世界との距離は確実に縮まってきています」
差を縮めるどころか、一気に頂点を狙える位置にまでたどり着いた。
◇乙武 洋匡(おとたけ・ひろただ)1976年(昭51)4月6日生まれ、東京都出身の45歳。「先天性四肢切断」の障がいで幼少時から電動車椅子で生活。早大在学中の98年に「五体不満足」を発表。卒業後はスポーツライターとして活躍した。