ディーン・フジオカ 大河「青天を衝け」五代友厚役との親和性の源
2021年09月17日 08:05
芸能
2015年のNHK連続テレビ小説「あさが来た」に続いてこの人物を演じているディーンは「こういう形でもう一度、演じる機会をいただけたことは何か見えない力で導かれているとしか思えない。五代さんには会ったことはないけれど、凄い恩人。恩義を感じるべき対象だと思う」と胸の内を明かす。
俳優が歴史上の人物を再び演じた例は過去にもある。例えば、高橋英樹が1973年の大河「国盗り物語」で演じた織田信長を94年のテレビ東京系の12時間超ワイドドラマ「織田信長」で、竹中直人が96年の大河「秀吉」で演じた豊臣秀吉を2014年の大河「軍師官兵衛」で演じている。総じて言えるのは、制作者側や視聴者側から見て、役柄との親和性が高いということだろう。
「青天を衝け」主演の吉沢亮はディーンについて「同じ大森美香さんの脚本で五代さんを演じられているので、染みついている感じ。ディーンさんでもあり、五代さんでもあるというように共存している感じがする。ディーンさんと五代さんの人柄が魅力的で、共演していて気持ちがいい」と語る。
ディーンは自身と五代の親和性について「あまり自分では客観視できない。尺度を持っていない」と語りながらも、「自分にとって大きな出会いだったし、今も現在進行形で気づきを与えてもらっている。人間が幸せを追求する時、個人のプラスと、子孫や後世へのプラスがイコールにならないことがあるが、五代さんは後者を選んだ人で、胸を打たれるものがある。彼の生きざま、思想がより多くの人に伝わるように全力を尽くしたい」と思いを語る。親和性の源は、演じている人物への敬意の強さだと言えるかもしれない。
今後は、渋沢栄一(吉沢亮)と五代の関係が物語の大きな見どころになる。パリから帰国した渋沢は民間の資本を集める「合本(がっぽん)」の仕組みを試すため「商法会所」を設立。のちに「日本資本主義の父」「西の五代、東の渋沢」と称されるような活躍を見せる。
ディーンは「五代と渋沢は同じ未来に向かっていく仲間。五代の方が経験がある分、リードしていく関係性になるのかなと思う」と説明しつつ、吉沢について「この作品における同志。日本が生み出すコンテンツに共に関わり、次の世代にバトンタッチしていく。そのような蓄積が過去にもあったからこそ、今がある。それは五代と渋沢、明治の人たちとオーバーラップする部分がある」と話す。
五代と渋沢、ディーンと吉沢の共鳴を楽しみたい。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。