計算なかった小三治さん 客の方で笑ってしまうような自然さあった
2021年10月11日 05:30
芸能
芸事に限らず何事にも筋を通す、ぶれない人だった。嫌なことは嫌といい、自分の意見を貫き通す強さがあった。2010年から落語協会の会長を務めた際は、副会長に22歳も年下の柳亭市馬現会長を抜てきするなど、思い切った世代交代を進めた。
何事にもこだわる人で特に口に入れるものにこだわった。塩とハチミツは、その道のオーソリティー(権威)と言っていいほど。塩が日本専売公社の専売だった時代に海外旅行など行く先々で塩を買ってきていた。ベネズエラに旅行した際、現地の塩を口にして目ざめたと聞いた。
三代目古今亭志ん朝、五代目三遊亭円楽、七代目立川談志、そして十代目柳家小三治…私と同年代の大物がみんな逝ってしまった。一つの時代が終わってしまった喪失感を感じている。(演芸評論家)