NHK「流行感冒」地上波初放送 本木雅弘「普段は手厳しい家族も評価」東京ドラマアウォード優秀賞も受賞
2021年11月05日 11:00
芸能
脚本は上演台本を手掛けた昨年9月の舞台「ゲルニカ」が“演劇界の芥川賞”と呼ばれる第65回岸田國士戯曲賞の最終候補作品に選ばれた劇作家の長田育恵氏、演出は連続テレビ小説「花子とアン」や「セカンドバージン」「永遠のニシパ~北海道と名付けた男 松浦武四郎~」などの柳川強氏が務めた。
重苦しいタイトルとは裏腹に、ユーモラスな描写もあり、心温まる73分。「ギャラクシー賞」月間賞(4月度)を受賞し「百年前の流行感冒騒ぎが現代のコロナ禍と重なって、未知の脅威に対する人間の心の弱さ、滑稽さにシンパシーを感じると同時に、人間同士の絆の強さがうらやましく感じられた。大正時代の風俗や家の制度、それぞれの立場に応じた価値観、知識人の葛藤などが丹念に描かれ、演者の自然な演技とも相俟って、説得力を持って伝わってきた」と高く評価された。
10月27日には「東京ドラマアウォード2021」の表彰式が行われ、単発ドラマ部門優秀賞に輝いた。
本木は「『東京ドラマアウォード』優秀賞の受賞、大変嬉しく思います」と喜び。「自分としても、出口の見えなかったコロナ禍の中で、唯一出演した作品でした。100年前にも起きていたパンデミックをなぞり、スタッフ共々、まさに命をさらしながらの撮影は臨場感と緊張感の連続でしたが、灯台の下を照らすような、ささやかな発見のある物語は、結果、自身にも大きな癒やしを与えてくれました。共演の方々の自然な佇まいや、ミニマルな劇音楽も素晴らしく、普段は手厳しい身内関係者や家族も評価してくれたことが、さらなる救いと悦びになりました。この機会に、是非、多くの方にご覧いただければと思います」と呼び掛けた。
妻役の安藤サクラ(35)と初共演。都心を離れた静かな村に住む主人公が東京に出るたびに通う行きつけの居酒屋「とり寅」の主人・寅吉役を演じた石橋蓮司(80)とは、1988年公開の主演映画「中国の鳥人」(監督三池崇史)以来、実に約23年ぶりの共演となった。
村長役の秋野太作(78)については「子どもの頃に『俺たちのシリーズ』を拝見していたので、共演させていただき、不思議な嬉しさがありました」、娘役の志水心音(7)については「愛らしい存在感がとても良く、スタッフの方々もニンマリしていました」と振り返った。
【あらすじ】小説家の私(本木雅弘)は、妻の春子(安藤サクラ)と4歳の娘・左枝子(志水心音)、2人の女中・石(古川琴音)きみ(松田るか)とともに都心を離れた静かな村で暮らしている。最初の子を生後すぐに亡くしたせいで、娘の健康に対して臆病なほど神経質である。時は、大正7年(1918年)秋。流行感冒(スペイン風邪)が流行り、感染者が増え始める中、女中の石が、よりにもよって村人が大勢集まる旅役者の巡業公演を観に行ったのではないか、という疑惑が浮上する。私は石を問い詰めるが、石は行っていないと否定。疑念を拭えない私は石に厳しく当たり、左枝子に近づかないよう言いつけるが…。
また「麒麟がくる」の池端俊策氏(75)が脚本を手掛け、本木が主演を務めた2001年のNHKドラマ「聖徳太子」が6日午後7時30分からBSプレミアムで放送される(90分×全2回、2本立て)。