寂聴さん 激動の99年 夫の教え子と駆け落ち、自身の泥沼全て執筆 奔放すぎて干されたことも
2021年11月12日 05:30
芸能
事件は35歳の時に起きた。女性の奔放な性を描いた小説「花芯(かしん)」を発表すると、その過激な官能描写は男性中心の文壇で「ポルノ小説」と酷評。「子宮」の表現を多用したことで「子宮作家」とのレッテルが貼られた。寂聴さんが批評家に「インポテンツで、女房は不感症だろう」と反論し火に油。文壇から干される不遇な時代は5年続いた。
書くことが生きる原動力になった。私生活では年下男性のほか妻子のいた作家の小田仁二郎氏や作家の井上光晴氏とも不倫関係にあったが、こうした男女の泥沼も全て書いた。51歳で井上氏との関係清算に加え「自分の文学を深めるため」に出家し、男性との交際もなくなり一切のセックスを絶った。
07年には本紙のインタビューに「書くことが楽しくて、楽しくて。私にとって快楽なの」と明かすなど、書くことそのものが人生だった。亡くなる直前まで複数の連載を抱えた寂聴さん。最期まで情熱は衰えることなく旅立った。