さだまさし 「カムカムエヴリバディ」平川唯一役 「みんなを元気づける気持ちは一緒」
2021年11月30日 08:15
芸能
「『おはなはん』(1966年~67年)にハマって以来、割とよく見てきました。印象としては『これからを担う若い女優さん』を育てるための良い番組だと感じていました」
──出演依頼を受けた時の率直な思いは?
「意外でした。何故?僕?という感じ。戦後の暗い日本を明るく励ました人物で、ヒロインの人生の転換点になる重要な役と聞き、重すぎて断ろうかと思いました。でも、プロデューサーから『コロナ禍の日本で、みんなを元気にしようと頑張っている人、と考えた時、さだまさししか思いつかなかった』と言われ、お引き受けしました。ラジオでの出演が主なので気楽かなと思ったのですが、『英語の先生』というハードルが厳しかった(笑)」
──役作りは?
「役作りもなにも、ドラマでは唯一の『実在人物』ですし、実際の音源も残っています。ですから、その音源から感じた人柄を大切に『分かりやすく丁寧な日本語』で話すことに気をつけました」
──平川唯一はどんな人物?
「少年時代から米国に渡り、向上心を捨てず、好奇心のままに、しかも必死に生きた人。家族や故郷を大切にして、戦後の日本を立て直そうと頑張った偉大な人」
──ご自身との類似点は?
「畏れ多くて類似点は見い出せませんが、みんなを元気づけようという気持ちは一緒だと思います」
──収録での手応えは?
「ラジオ英語講座の先生役ですから大変でしたが、ネイティブの先生に一生懸命に教わり、注意され、励まされて勉強したのが、思えば楽しかったです。次は日本語の先生役でお願いします」
──忘れられないエピソードは?
「上白石さんがロケ中にラジオを聞くシーンでは本当にラジオを聞くのがうれしくて、幸せで救われたと言ってくださったのがうれしいです。本番では実際にネイティブな英語圏の方との会話があったのですが、僕の英語を聞いたその相手の方が、思わず吹き出して笑いだしたので、しかられるかと思ったら『さださん、上手じゃん』と日本語で褒められました。いやあ、実にホッとしました。スタッフも安心したのか大笑いでした」
──平川の英語講座がヒロイン・安子の生活の支えになることについては?
「僕たち歌づくり、歌い手の仕事は目の前に見えない誰かの元気になれることです。そういう意味では誰かの支えになれることはうれしいことです。うれしいお役ですね」
──ご自身の声が朝ドラで流れることは?
「まだ出てきていないので分かりませんが、多分照れくさくて、じっと見られないと思います」
──今後の俳優業への思いは?
「俳優業?まったく想像できません。歌うことで必死です」
──最後に、視聴者にメッセージを。
「僕の声が物語の邪魔になりませんように祈ります。ドラマ見て下さい、面白いですよ!皆さん、コンサートにお出かけ下さいね」
11月30日の放送の最後で、童謡「証城寺の狸囃子」のメロディーに「カムカムエヴリバディ」の歌詞をつけた曲を、幼い娘を背負った安子が耳にした。この曲は、終戦後間もなく放送されたNHKラジオ英語講座「英語会話」(通称・カムカム英語)のオープニングに使われたものだ。いよいよ、平川唯一の声がラジオから流れ始める。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。