「新作落語の神様」三遊亭円丈さん死去 76歳、心不全 代表作「グリコ少年」など300作生む
2021年12月06日 05:30
芸能
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円丈さんは2012年に白内障と不整脈が相次いで判明。15年ごろから記憶力の低下を公表して高座にタブレットを持ち込むこともあった。17年から症状の進行を抑える薬の服用を始めた。
かつてマネジャーを務めるなど長年にわたり公私で支えた妻ユリ子さんはスポニチ本紙の取材に応じ、今年5月、円丈さんが定期的に病院に通う中でCT検査で頭部に血の塊が見つかり、「急性硬膜下血腫」と診断されたことを明かした。入院生活が長引き、8月頃から意思の疎通が難しい状況になり、11月30日午後、体調が急変。ユリ子さんら家族にみとられ、眠るように息を引き取ったという。
名人と呼ばれた六代目三遊亭円生に入門、ぬう生を名乗った。78年真打ちに昇進し円丈に。新感覚の新作落語で人気となり、生み出した作品は300に上るとされる。代表作は駄菓子への思いを熱弁する「グリコ少年」や関東郊外暮らしの悲哀をネタにした「悲しみは埼玉に向けて」など。弟子ばかりでなく、“円丈チルドレン”と呼ばれる多くの後進に大きな影響を与えた。
人気に火が付いたのは80年代。漫才ブームの中、フジテレビ「花王名人劇場」で「グリコ少年」を披露しお茶の間に存在が知れ渡った。掛布氏と共演した蚊取りマットのCMでは「カコカケケコカケ掛布さん」のせりふが流行。86年には落語協会との騒動を題材に描いた本「御乱心」がベストセラーにもなった。
最後の高座は昨年12月23日に都内で行われた「円丈百席を聴く会」。ユリ子さんによると、師匠の円生が79歳まで現役を続けていたことを意識して「79歳まで頑張りたい」とよく口にしていた。高座への意欲が尽きぬまま旅立った。
◇三遊亭 円丈(さんゆうてい・えんじょう、本名大角弘=おおすみ・ひろし)1944年(昭19)12月10日生まれ、名古屋市出身。明大中退。実家は写真館を営んでいたが、継ぐのが嫌で落語家に。シンセサイザー落語、プロレス落語などさまざまな試みに挑戦。影響を受けた落語家には春風亭昇太(61)、柳家喬太郎(58)らがいる。「狛犬(こまいぬ)」研究家としても知られ多彩に活動した。夫人との間に1男1女。