神田沙也加さん 祖母の言葉「歌手になるのだけはやめなさい」胸に自力でこじ開けたミュージカル主演

2021年12月20日 05:30

芸能

神田沙也加さん 祖母の言葉「歌手になるのだけはやめなさい」胸に自力でこじ開けたミュージカル主演
帽子をかぶり笑顔を見せる女優の神田沙也加さん Photo By スポニチ
 【神田沙也加さん死去 】 「初めて会ったのは彼女が中学生の時。その頃から周囲に気遣いをする、気配りの子だった。そんな彼女がずっと夢だった舞台に穴をあけ、共演者やスタッフに迷惑をかけることをするとは思えない。今も信じられないし、よほどのことがあったのか」。神田沙也加さんのデビュー前からの知人は突然の悲報に驚きを隠さなかった。
 「親の七光と言うが、偉大すぎる母を持った彼女はそのプレッシャーでやけどしそうだった」と指摘した上で「表現者として当時から優れていた。文章力も素晴らしく、手紙一つでも違った。ただ、その感受性の強さはナイーブで傷つきやすかった」という。

 2001年の中学時代にグリコのCMで芸能界デビュー。主演映画と歌手でダブルデビューすることを報じたのは翌02年のスポニチ元日版。本紙読者向けに年賀状を書き、聖子については「母というより姉という感じ」と、その後“一卵性母娘”と呼ばれる関係をこのころから明言。「カラオケが大好きだけど母の歌だけは歌えない。偉大すぎて軽い気持ちでは歌う気にはなれないんです」と明かしていた。

 「歌手になるのだけはやめなさい」――。沙也加さんが敬愛する祖母、一子さん(89)に幼い頃から言われてきた言葉だ。偉大すぎる母と比較され、つらい思いをしないようにという思いからだった。

 「確かにCDデビュー時の彼女の歌は声帯も弱く決してうまくはなかった。鳴り物入りでデビューしたのにシングル4作で終わったのも、そういうワケがあった」と関係者は振り返る。その挫折感たるや相当なもので「当時からメンタルは決して強くなかった。でも、その後ミュージカル女優として大成していく姿を見て、どれだけの努力をしたのかと感心したのと同時に、母とは違うミュージカルという“歌の道”で自分の地歩を固めた強さに感動した」という。

 歌手を一度諦めた06年。活動を休止し、母との関係も完全に絶ち、飲食店でアルバイトをしながら食いつないだ時期があった。

 友人によると「厨房(ちゅうぼう)で皿洗いをしながらトイレ掃除もしていた。でも、そんな時期に親しくなり相談した大地真央さんからのアドバイスで、自分が好きなアニメの声優や舞台女優への道を自力でこじ開けていくこととなった。お母さん譲りの意志の強さが、自分のモノとして発揮された瞬間だった」という。

 そんな沙也加さんのことで「ずっと気になっていた」と親しかった人たちが指摘する言葉がある。この6年間で2度出した著書のいずれにもある「生まれ変われたら何になりたい?」という自分への質問。「私以外なら何でも」――。沙也加さんの答えは同じだった。

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