吉田鋼太郎 人生で一番ビビった人 あの演出家との運命の出会いは「2週間ずっとドキドキ」
2021年12月23日 14:54
芸能
出会いは40歳の時に出演した舞台。「それがどんどん降ろされたり、あるいは蜷川さんにあんまり怒られたりして、途中から来なくなっちゃったりする人とか、そういうことが頻繁に起こるような稽古場だった。僕の出番が稽古が始まってから2週間ぐらい経ってからで、2週間ずっとドキドキですよ。自分もそういう目に遭ったらどうしよう、みたいな。(2週間稽古に行っても)僕の出番が回ってこないわけですよ。10時間の尺の芝居で、長いんです。なかなか自分の番が回ってこないから」と振り返った。
とはいえ、自身の番となり、「いずれにせよ頑張らなきゃと自分の持てるものを出そうと思ってやった」といい、最初は「誰だよ!」という顔をしていた蜷川さんも吉田の演技で徐々に目を見開き、最後は口を開けていたと、当時、蜷川さんの横に座っていた女優の寺島しのぶが教えてくれたという。「それでどうやら蜷川さんは気に入ってくれたみたいです」と明かしつつ「2週間ビビりっぱなしです」と苦笑した。
当然、稽古の参加する前からその評判は聞いていたという吉田。蜷川さんについて「もちろん、聞いてます、かなり厳しい人だって。とにかくストレートにダメ出しをするわけですよ。それがやっぱり傷つきますよね。本当にその通りだなってことをおっしゃるので、さらに傷つきますよね」と苦笑いを浮かべた。
一部で稽古場で「灰皿が飛んでくる」などの逸話もある蜷川さんだが「その頃は禁煙なさっていたので、灰皿は飛ばなかったんだけど、履いてる靴とかわざわざ脱いで投げてましたね」と吉田。「ひどい時はパイプ椅子投げていた。もう死んじゃったから行っちゃいますけど。もちろん、当たらないようには投げてますけど」と笑った。
吉田は蜷川さんが芸術監督を務めていた「彩の国シェイクスピア・シリーズ」を2016年10月に引き継いだ。「残ったのを僕がやるって言う流れになりましたね」と明かしつつ、自身が演出する時は「(蜷川さんイズムは)全く持ってません」とキッパリ。「あんなつらい思いは人にはさせたくない」とぶっちゃけ、笑わせた。