「おかえりモネ」総集編 番組CPも感慨“脇役”たちの“名演技”「あぁ、本当に支えられているんだな」
2021年12月29日 07:00
芸能
朝ドラ通算104作目。清原が主演した「透明なゆりかご」やテレビ東京「きのう何食べた?」などを手掛けた安達氏が丹念に紡いだオリジナル作品。タイトルにある「モネ」は主人公・永浦百音(ももね)の愛称。1995年に宮城県気仙沼市に生まれ、森の町・登米(とめ)で青春を送るヒロイン・百音が気象予報士の資格を取得し、上京。積み重ねた経験や身につけた技術を生かし、故郷の役に立ちたいと奮闘する姿を繊細に描き上げた。
須崎CPに「特に印象的だったシーンは?」と尋ねると、予想外の答え。「シリーズ序盤は、気仙沼や登米でのロケシーンが豊富に散りばめられています。そこに出ているエキストラさんは、その多くがタレント事務所に所属しているのではなく、地元参加の『市民エキストラ』さんたちなのですが、どのシーンも皆さんの表情が素晴らしかったんです」と“脇役”たちの活躍を挙げた。
「第2週、百音が翔洋(浜野謙太)とともに引率している林業体験学習の児童たちの、生き生きとした表情とか(子役はタレントと地元の子との合同チーム)。第3週、中学生の頃の百音たちが島の山頂でジャズライブをしている時の、共に演奏している中学生や客席の大人たちの楽しそうな感じとか。第8週、サヤカ(夏木マリ)がいよいよヒバの木を伐採する時、その後ろに並ぶ林業関係者たちの真剣な眼差しとか。日常的な場面でも、シリアスな場面でも、ロケに参加してくださった皆さんは、どなたも本当に真剣に取り組んでくださいました。もちろん感染対策にも、きちんと協力していただいて。そして、とても自然で、いい演技を見せてくださいました。編集室でつながった映像を見た時、『あぁ、この作品は、宮城の方々に本当に支えられているんだな』と実感したんです」と感謝。
その後、撮影は東京・渋谷のNHKでスタジオ収録を中心に進められたが、終盤のクライマックスを描くため、9月上旬にラストの気仙沼ロケを実施。無事クランクアップを迎えた。
「最終回の亮(永瀬廉)の出航シーンは、エキストラさんたちの表情がまた素晴らしくて。皆さん、りょーちんや新次(浅野忠信)を見て、すごくうれしそうなんです。思うに、それまで『りょーちんはどうなってしまうんだろうか。新次さんは立ち直ってくれるんだろうか』とドラマを見ながら心配してくださっていた皆さんが、最終回のストーリーは知らずにロケに参加し、その現場リハーサルで『あ、りょーちんは自分が買った船に乗るし、見送る新次さんは笑顔だし。これはハッピーエンドなんだ』と気づいたのでは、と。2人の晴れがましい姿を、エキストラさんたちが自分のことのように、心の底から喜んでくださっているように感じられて、見ていてこみ上げるものがありました」。2019年夏、宮城での取材からこの企画をスタートさせた須崎CPにとっては感慨深いシーンとなった。
◆須崎 岳(すざき・たかし)1973年(昭48)生まれ、愛知県出身。98年、NHK入局、初任は大阪局。主なプロデュース作品に「透明なゆりかご」「サギデカ」「弟の夫」「運命に、似た恋」、連続テレビ小説「花子とアン」、「恐竜せんせい」「真珠湾からの帰還」など。主な演出作品に「鉄の骨」「散歩する侵略者」など。