紅白視聴率 史上初の瞬間最高40%割れ、ヤマ場なく異例の“単調グラフ”に
2022年01月05日 05:30
芸能
![紅白視聴率 史上初の瞬間最高40%割れ、ヤマ場なく異例の“単調グラフ”に](/entertainment/news/2022/01/05/jpeg/20220105s00041000131000p_view.webp)
例年は、前半の企画コーナーや後半のスタートダッシュ、午後10時ごろからの人気アーティストの登場などで視聴率が大きく上昇。いくつかヤマをつくりながら右肩上がりしていき、午後11時すぎからクライマックスにかけてピークを迎える。前回は、2020年いっぱいで活動を休止した嵐の歌唱シーンが大きな注目を集めたが、今回は目立ったヤマ場を作ることができなかった。音楽関係者は「民放の音楽特番に出ないようなトップアーティストを引き出せなかったことなどが響いた」との見方を示した。
全体を通じて数値も低迷した。その要因となったのは、子供層へのアピール不足だ。個人視聴率データによると、後半で男女4~12歳の紅白離れが目立った。前回の21・2%に対し、今回は13・5%と7・7ポイント減。全年代が29・6%から24・8%の4・8ポイント減だったのと比較すると、大きな減少幅となった。同関係者は「子供が番組を見て、その親も巻き込むことで世帯視聴率は上昇する。紅白が“お化け番組”と呼ばれたのも家族全員が楽しめるコンテンツだったから」と分析した。
紅白の歴史を見ても、かつて70%台が当たり前だった時代から大きく視聴率を落とした80年代後半を境に、子供も楽しめるコンテンツが増えてきた。94年に初めてディズニー企画を導入し、以後紅白の定番に。前回も同企画が前半の大きなヤマ場となった。今回は「鬼滅の刃」などのコーナーがあったが、事前のアピール不足に加え新鮮味も薄く、視聴率の底上げにはつながらなかった。
ただ「カラフル」というテーマを打ち出し、多様性に向けた取り組みを強化。紅組、白組にとらわれない演出は視聴者から受け入れられた。出場回数5回未満のアーティストが全体の6割を超えるなど、長年課題だった世代交代にも成功した。
NHK関係者は「未来の新しい紅白に向け、今はその過渡期と言える」と指摘する。時代とともにアップデートされた紅白。今後は数字を伴うような番組制作が求められる。