文化支えた“老舗”にコロナ余波 歌舞伎専門誌「演劇界」休刊、岩波ホールは閉館へ
2022年01月12日 05:30
芸能
新型コロナの感染拡大で歌舞伎の休演が続いた20年には、歌舞伎俳優117人の思いを掲載した6・7月号が完売し、異例の増刷が話題となった。最近は実売数千部と伸び悩み、小学館は「昨今の社会情勢および出版界を取り巻く環境の急速な変化に雑誌発刊の継続が困難と判断」と説明。歌舞伎関係者は「演劇界の歴史は歌舞伎界の歴史で、資料としても貴重だった。休刊は非常に残念」と話した。
単館公開作品を上映するミニシアターの先駆けとされる「岩波ホール」は1968年に多目的ホールとして開館。74年に総支配人の高野悦子さんらが埋もれた名作映画を上映する運動「エキプ・ド・シネマ」をはじめ、単館映画館として、文芸作品や思想系の作品、社会派ドキュメンタリーなどを中心に紹介してきた。これまでに65カ国・271作品を上映。主な人気作品に、リンゼイ・アンダーソン監督の「八月の鯨」、メイベル・チャン監督の「宋家の三姉妹」などがある。最近は新型コロナの影響で経営環境が悪化していた。
《厳しい出版界…「セブンティーン」「パーゴルフ」も》ここ数年、雑誌の休刊やミニシアターなどの閉館が相次いでいる。女性誌の中でも高い人気を誇っていた、女子中高生向けの月刊ファッション誌「セブンティーン」の定期刊行終了や総合ライフスタイル誌「ミセス」の休刊は大きな話題に。娯楽雑誌の「アサヒカメラ」、「パーゴルフ」なども休刊に入った。大手の映画配給会社が扱わない作品を独自に選んで上映していた「アップリンク渋谷」はコロナ禍で資金繰りが厳しくなり、昨年5月に閉館した。