【男優主演賞】「護られなかった者たちへ」佐藤健 流儀完徹「役を生きる」、負けず嫌い原動力に
2022年01月20日 05:30
芸能
「護られなかった者たちへ」は東日本大震災から10年後の仙台で起きた連続殺人事件の真相に迫るミステリー。生活保護をテーマに据え国民を守る制度に守ってもらえない人に焦点を当てた。「生活保護のシステムや実情を詳しく知らなくて。映画化する意義があると感じた」と出演を決めた経緯を明かした。
演じた利根は放火事件で服役し、出所したばかりの男。連続殺人の容疑者として浮上し、刑事に追われる役どころだった。「利根はとにかく真っすぐ。自分の中の正義を信じて突っ走っている。不器用だけど筋が一本通ってて、エネルギー量が高い。そういう人にしたかった」
「役を生きる」を心掛けた。台本にあるセリフも、自分がその気持ちにならなければ口にしない。「演技をしてる時に“ここでセリフを言おう”とか思ってちゃダメじゃないですか。まず、役としての自分が生理的に気持ちいい形で演じてみる。瀬々(敬久)監督はそれを尊重してくれるタイプでした」
口数は少なく、信頼する人以外には鋭い視線を向ける利根。「あまり意識していなかった」というが、目や表情で感情を伝える演技は見事だった。
「仮面ライダー電王」に主演し、本格的に俳優の道を歩み始めてから15年になる。「あの時はまだ、気合入ってなかったですね」と懐かしそうに笑う。それが今、世代を代表する俳優へと成長した。
現在のモチベーションは何か。その質問に「何でしょうねえ」としばし考え込み、「あるとすれば負けず嫌いなこと。本業は役者業なので、そこで負けたくない。一種の見えのようなものが結果的にモチベーションになってる」と答えた。良い作品を作ることこそが佐藤にとっての「勝ち」。それを求め続けている。(伊藤 尚平)