渡辺王将、連敗阻止へ“方程式”再現 藤井竜王倒した20年棋聖戦第3局ほうふつ
2022年01月23日 05:30
芸能
角交換のあいさつを交わした後に21手目▲4六銀(第1図)で早繰り銀の態度を表明。相手も同様の戦型を選び、前例を踏襲するかのごとくリズムに乗って指し手が進む。このスピードでの流れといえば、20年7月9日の棋聖戦5番勝負第3局が思い出される。角換わり腰掛け銀の一局。なんと90手まで後手・渡辺の事前研究どおりにばく進した。結果は142手での勝利。藤井相手にタイトル戦で唯一挙げた白星だった。
連敗を避けたい渡辺にとって、負けられない今局は当時のように先行して自分のペースに持ち込むのが理想の戦い方だ。だが47手目▲5六角に24分、続く49手目▲2五飛には1時間8分を消費。思い描いていた展開とは大きく乖離(かいり)が生じ、「第1局とはかなり違いますね」と複雑な表情を浮かべる。
藤井の長考時は席を外す際に対局室の空調を調整し、じれる思いを抑えながらひたすら待つ。後手の52手目△8八歩には55分の時間を投じて▲同金と応じた。封じ手時点での時間差はプラス28分。タイムマネジメントで大きなアドバンテージを得たわけではない。微妙に悩ましい状況には違いない。
「かなり激しい展開になったので、また明日(23日)までに考えをまとめて臨みます」。小難しい顔つきのまま指し掛けの夜を迎えた渡辺の心境はいかばかりか。気がつけば自王は初期の位置から全く動いていない。
《封じ手は?》
▼立会人谷川浩司九段 △3五銀。そろそろ藤井竜王がリードしようと思っているのではないか。
▼副立会人稲葉陽八段 ひねって考えて△7七歩成。思いの外、長考されたのが気になりました。
▼記録係折田翔吾四段 △3五銀。この手ならアゲアゲだからです。