藤井竜王、プロ入り後最長考148分 時間惜しまず“最強の一手”探る
2022年01月23日 05:30
芸能
「全部で何時間、使いましたか?」
さらにまた考慮に沈み、藤井は結局2時間28分考えて52手目△8八歩(第2図)を指した。
「展開によっては終盤になることも考えられる。長考したけれど分からないところが多かった」
16年のデビュー以来自己最長。東京―大阪間の新幹線「のぞみ」の乗車時間に相当した。昨年8月、豊島将之九段(31)の挑戦を4勝1敗で退けた王位戦第5局、その41手目に2時間1分考えたのを超えた。
昼食休憩明け、51手目▲3四角と前線へ送り出した渡辺の決断にまず映る△3六角。3七桂のひもがつくとはいえ、飛車獲りと4七への角成をにらみ、調子がいい。その踏み込みの前に味付けした。
渡辺陣に壁金を強要することで王の逃げ道をふさぐ。前述の変化へ踏み込み、渡辺の57手目▲5六銀で封じ手時刻の午後6時を迎えた。
立会人の谷川浩司九段(59)から次の指し手を封じるよう指示されたが、前傾姿勢を崩さない。なおも盤上没我。きょう2日目、少しでも持ち時間を残そうとの計算がなく「2日制なのでできるだけそうしたい」。最強手を妥協なく探るポリシーを22分超過した考慮にも示した。
「封じ手の局面は2択だったが、分からなかった。ここから方針を決めて指していく必要があるのかなと思います」。そう、決戦への覚悟を語った藤井。局面は佳境の真っただ中だ。
《封じ手は?》
▼立会人谷川浩司九段 △3五銀。そろそろ藤井竜王がリードしようと思っているのではないか。
▼副立会人稲葉陽八段 ひねって考えて△7七歩成。思いの外、長考されたのが気になりました。
▼記録係折田翔吾四段 △3五銀。この手ならアゲアゲだからです。