渡辺王将 先手番で痛恨…7度目王将戦で初の連敗 敗戦への「レールに乗っちゃった」
2022年01月24日 05:30
芸能
終局後、開口一番に悔いたのは、指し掛け間際に藤井が2時間28分の長考を経て8八に叩いた歩の処理だ。
「(53手目)▲同金と取ったのがちょっとまずかったかもしれない。その時は仕方ないと思ったが、進んでみたら、そこを過ぎてから駄目にした気がしました」
感想戦では序盤を省略して、くだんの場面を徹底的に分析。まずは8八歩を無視して攻めに転じる変化を検討したが「うーん、難しい」。ならば本譜の同金に手を戻しても、好転の筋を発見することはできなかった。「(敗戦への)レールに乗っちゃったんですかね…」と、3度に及ぶつぶやきは、静粛の対局室にむなしく響くばかり。
第62期(13年)の初挑戦以来、今期が7度目の王将戦7番勝負登場となる渡辺だが、開幕連敗は過去に一度もなかった。スタートダッシュを決めてタイトルを奪取・維持するスタイルが定着していただけに、想定外の滞留となる。
加えて藤井相手のタイトル戦は20年7月16日の棋聖戦5番勝負第4局以来、実に6連敗の屈辱だ。通算成績もこの日で2勝10敗。無限の成長を遂げつつある新星との差を、詰めるどころか徐々に広げられている。
「(最終盤は)もうちょっとアヤはあるかなと思っていたが、全然駄目だった。やっぱり8八歩までさかのぼるのかな…」
視線を宙に漂わせ続けた渡辺は次戦に向け「本局は内容が良くなかった。もうちょっとましな将棋を指せるようにやっていきたい」と懸命に顔を上げた。忸怩(じくじ)たる思いを胸に封印して、中5日の再戦に備えなければならない。