藤井王将 連勝を「29」で止められた「因縁」佐々木七段とA級昇級をかけた大一番

2022年03月08日 15:19

芸能

藤井王将 連勝を「29」で止められた「因縁」佐々木七段とA級昇級をかけた大一番
2017年7月2日、14歳の藤井聡太四段(左)は第30期竜王戦決勝トーナメント2回戦で佐々木勇気五段(当時)と対局。佐々木五段が101手で勝ち、藤井四段の連勝記録は29でストップ
 将棋の藤井聡太王将(19)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=が9日、東京・将棋会館で名人戦B級1組順位戦の最終12回戦に臨む。藤井が勝つか、A級昇級を争う稲葉陽八段(33)か千田翔太七段(27)が敗れると、加藤一二三・九段(82)の18歳1カ月に次ぐ歴代2位、19歳11カ月の谷川浩司九段(59)の記録を更新し、19歳7カ月での昇級が決まる。
 相手は佐々木勇気七段(27)で2017年、デビュー以来の連勝を29で止められた因縁の相手。その後、佐々木には2連勝しているが、大一番で再び注目対決が実現した。

 「序盤研究が非常に深く、中終盤も鋭い手強い相手です」。藤井は過去3度の対戦経験からの印象をそう語った。

 前期B級2組から共に昇級した佐々木は現在7勝4敗。開幕7連勝で先行したが昨年12月以降4連敗と調子を落とした。

 すでに昇級の可能性はなく、13人が在籍する同級での順位をどこまで上げて来期に臨むかの闘い。12回戦の彼我の重要度には差がついたが、「対局に臨むにあたって、大きな一番だから頑張るとか、そうじゃないから頑張らないとか、そういったことは振り返ってもありません」。藤井は苦笑いで応じ、佐々木が身にまとうであろう闘志を寸分も疑ってはいなかった。

 棋界には「米長哲学」と呼ばれる言葉がある。「相手にとって重要な一局にこそ全力を尽くすべきだ」。故米長邦雄永世棋聖の言葉を羽生善治九段らも支持。消化試合を消滅させ、技術革新を絶えず重ねてこられたからこそ、新たな指し手がファンを開拓してきた歴史があった。藤井にとって、米長哲学は言葉にすることすら意味を成さない自明の理だったのかもしれない。

 対局は2月11、12日、開幕4連勝決着した本社主催・第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第4局以来。1カ月近く対局間隔があいたが、「しっかり自分を高めて臨みたい」。万全の状態で迎え、来期、谷川が持つ21歳2カ月の最年少名人記録の更新を目指し、その挑戦権を争うA級の戦いへと駒を進める意気込みだった。
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