「カムカム」森山良子 日系米国人のアニー役に決まった理由

2022年03月25日 08:15

芸能

「カムカム」森山良子 日系米国人のアニー役に決まった理由
森山良子 Photo By スポニチ
 【牧 元一の孤人焦点】歌手の森山良子(74)がNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」に日系米国人のアニー・ヒラカワ役で出演している。
 製作統括の堀之内礼二郎氏は森山の起用理由について「アニーは日系米国人で、異邦人として日本にやって来て、ひなた(川栄李奈)の人生や時代劇に新しい風を吹かせる存在。年齢は70歳前後でありながらも、視聴者の方々が、初めて出会ったと感じられるような方に演じていただきたいと考えていた。森山さんが役者としてあまり出演していないことに注目した」と説明する。

 森山が普段、テレビなどで英語で話す印象は薄いが、堀之内氏は「世界中でコンサートを開かれている。ジャズがお上手なので、英語を聞く耳が素晴らしいのではないかと感じた。ご本人にお会いした時に分かったことだが、お父さまがもともとトランペッターで、ルイ・アームストロングとも親交があり、ルイが来日した時、コーディネートや通訳をしたことがあるらしい。そんなご縁も含め、熱意を持って応じていただいた」と明かす。

 アニーの職業は映画のキャスティング・ディレクター。この分野の日本人としては、米映画「ラストサムライ」などに携わった奈良橋陽子さんが広く知られている。

 堀之内氏は「奈良橋さんの存在が心強かった。奈良橋さんに具体的にお話をうかがうことで、物語の中で日系人がキャスティング・ディレクターを務めることにリアリティーが生まれた。モデルということではないが、事前に奈良橋さんと『ラストサムライ』は取材させていただいた」と話す。

 25日放送の第102回では、アニーが条映太秦映画村で、ひなたと英語で会話する場面があった。

 演出の橋爪紳一朗氏は「英語のセリフは、事前に英語指導の先生と一緒に練習していただいた。アニーは銀髪で、普段の森山さんの雰囲気とは違うので、ご本人は撮影の時に緊張されたと思う。アニーは米国から来た日系人なので、ずっと米国で暮らしてきたという感じを意識した」と話す。

 堀之内氏は「素晴らしかった。日系米国人のアニー・ヒラカワとして来ている感じがよく出ていた。英語は腹部から声を出さないとネーティブっぽく聞こえないそうだが、言葉の響きがとてもすてきだった。森山さんはアニーを演じるのではなく、アニーになってくださった。銀髪のカツラを外すと、明るくて楽しい森山さんに戻るギャップが楽しかった」と話す。

 ひなたと話す場面で、アニーは最後に「英語の勉強、これからも続けてください。きっと、あなたをどこか思いも寄らない場所まで連れて行ってくれますよ」と語りかける。この言葉は、ひなたの祖母の安子(上白石萌音)が、まだ岡山で暮らしていた頃、進駐軍将校だったロバート(村雨辰剛)から言われた内容に酷似している。

 アニーは安子、ロバートと関係があるのか。それとも…。物語の最終盤で、伏線回収の重責を森山が担う。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。
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