「ドライブ・マイ・カー」アカデミー賞4部門でノミネート 米国で評価された4つの背景

2022年03月29日 05:30

芸能

「ドライブ・マイ・カー」アカデミー賞4部門でノミネート 米国で評価された4つの背景
「ドライブ・マイ・カー」で第94回米アカデミー賞国際長編映画賞を受賞し、オスカー像を受け取る濱口竜介監督(AP) Photo By AP
 【第94回アカデミー賞授賞式 】 アカデミー賞国際長編映画賞に輝いた「ドライブ・マイ・カー」は、受賞は逃したものの日本映画として初の作品賞と脚色賞、史上3人目となる監督賞でもノミネートされる栄誉。米国で高い評価を受けた背景には、主に4点が挙げられる。
 (1)村上春樹氏の原作を発展させた脚本 脚本は世界的な人気作家である村上氏の同名小説に、別の2本の短編を融合させて執筆された。アカデミー賞の日本代表作品の選考委員でもある映画ジャーナリストの関口裕子氏は「濱口監督の新しい解釈による脚色が素晴らしく海外の人の胸に響いたのではないか」と分析する。

 (2)主人公の孤独からの再生というテーマがコロナ下の人々の思いと合致 映画は突然妻を失った主人公が、専属運転手との出会いによって再生していく。洋画配給会社関係者は「人と人とのつながりを濃密に描くシンプルな構成が、コロナで分断された欧米の人々の琴線にふれたのでしょう」と解説する。

 (3)多彩なキャストと言語の劇中劇 劇中劇「ワーニャ伯父さん」のシーンは多国籍の俳優、多言語で演じられている。同関係者は「手話なども取り入れ、最近のアカデミー賞が掲げる多様性という点でも共感を得やすかった」と話す。

 (4)アカデミー会員の多様化 会員のほとんどが白人の男性であることが問題視され、映画芸術科学アカデミーは女性と非白人の会員数を倍にすると発表。現在は約9500人で、関口氏は「女性や黒人だけでなく、日本を含め韓国、中国にも投票権を持つ人が増え、アジアの映画が俎上(そじょう)に載りやすくなった」としている。
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