坂本花織 北京銅につながった時代に逆行した戦略 ジュニア時代から8年に及ぶ取材の秘蔵映像も

2022年04月09日 10:00

芸能

坂本花織 北京銅につながった時代に逆行した戦略 ジュニア時代から8年に及ぶ取材の秘蔵映像も
9日に放送される「バース・デイ」はフィギュアスケート女子・坂本花織が北京五輪で銅メダルを獲得するまでの道のりに迫る(C)TBS Photo By 提供写真
 9日に放送されるTBS「バース・デイ」(土曜後5・00)は、フィギュアスケートの女子・坂本花織(シスメックス)に密着し、ジュニア時代から8年に及ぶ取材の秘蔵映像とともに北京五輪銅メダル獲得までに迫った。
 番組は坂本が13歳のジュニア時代から、およそ8年間に及び取材してきた。坂本は13歳で初めてジュニアの強化合宿に参加し、この頃から周囲を笑顔にする明るさは変わらない。この時の目標にしている選手は「浅田真央選手と鈴木明子選手」とし、目標は「平昌五輪」だった。

 五輪出場を目指して中野コーチのもとで磨いたのが、スピードを殺さず、より遠くへと跳ぶダイナミックなジャンプ。その武器を磨いて臨んだ17年12月の平昌五輪代表選考会を兼ねた全日本選手権。ダイナミックなジャンプで会場を沸かせ、ほぼノーミスで滑る勝負強さを見せた。当時の自己ベストを更新して2位に入り、2枠しかなかった五輪代表の座を勝ち取った。

 初の五輪舞台でも物怖じせずダイナミックなジャンプで躍動し、見事6位に入賞した坂本。そして、北京五輪での表彰台を見据えてトリプルアクセル(3回転半)への挑戦が始まった。10年のバンクーバー五輪では浅田真央が、このトリプルアクセルを武器に銀メダルに輝いた。だが、坂本は成功の糸口をつかむことができなかった。苦戦する坂本の焦りに拍車をかけたのはロシア勢だった。トリプルアクセルを超える大技「4回転ジャンプ」をロシア選手は次々と成功させるなど、北京五輪でのメダル獲得へ最大の障壁となった。

 坂本は「跳べるようにはなりたいが、跳べない人は跳べない人なりに、今のベストを尽くすしかない」と、五輪シーズンの直前に大きな戦略転換を決断する。それはトリプルアクセル、4回転ジャンプを跳ばなければ金メダルに届かない時代とは逆行した戦略だった。

 北京五輪を目前に控えた今年1月。坂本は本番に向けたプログラムの仕上げに入っていた。そこに組み込んだのはダブルアクセルや3回転ジャンプといった従来から行ってきた技。北京で勝つために、あえてトリプルアクセルを捨てた。「GOE(出来栄え)をたくさん稼ぐスタイルで正面から戦っていきたい」と、ミスのリスクを減らして演技全体の完成度を上げることで大技に対抗する。

 迎えた北京五輪本番。技の難易度を下げ、基礎点が落ちた分、ミスは絶対に許されないショートプログラム(SP)では最終滑走としてリンクに上がった坂本。磨き上げたスピードとダイナミックな滑りを見せるノーミス演技で自己ベストを更新して3位。そしてメダルをかけたフリーでもSPに続くノーミス演技でロシア勢の牙城を崩して銅メダルを獲得。自身の武器を信じて世界で戦えることを証明した坂本は「次は新しい挑戦もしたい」と、26年のミラノ五輪を見据えている。

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