藤井叡王「普段通り指せた」叡王戦先勝 前人未到8冠へ会心!タイトル戦11連勝
2022年04月29日 05:30
芸能
「こちらが序盤から動いていけるかという将棋。中盤は手の組み合わせが難しく、本譜は少し自信のない展開になってしまいました」「その後はよく分からなかったんですが、(65手目に)7七香を打ったあたりからこちらの王が安全になり、指しやすかった」
3月9日の順位戦B級1組最終局以来、中49日の真剣勝負。「やってみないと分からない」という手探り状態でも「始まってからは普段通り指すことができました」と、長すぎるオフ明けの心境を明かした。
藤井らしい指し回しだった。序盤に出口から飛車を大展開する研究手をぶつけられると、19手目に23分27秒、21手目に18分36秒と、惜しげもなく考慮時間を投入。叡王戦の持ち時間は各4時間だが、60秒未満を切り捨てるストップウオッチ方式ではなく、秒単位で実測するチェスクロック方式。8タイトル戦の中では持ち時間が実質的に最も短い戦いだ。にもかかわらず、37手目では58分42秒を消費。手持ちの4分の1もの時間をこの一手に投入するさまは、まさに藤井流だ。
もっとも、自身は苦笑いしながら「久しぶりの対局で、途中は時間を(多めに)使ってしまった。第2局はそのあたりを修正して戦いたい」と反省の弁。タイトル戦自体も2月12日の第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第4局以来。「勘」を取り戻す難しさも感じただろう。
何をやっても大記録につながる藤井のパフォーマンス。この日の勝利で、タイトル戦では昨年8月24、25日に行われた第62期王位戦7番勝負第5局(対豊島将之竜王)以来、実に11連勝だ。あの大山康晴15世名人が記録した17連勝に、じわじわと近づいている。「本局の課題を踏まえて次局を指したい」。記録には無頓着だが、勝利には飽くなき執念を見せる。新年度初戦から藤井らしさ全開だった。