「ちむどんどん」上白石萌歌の歌唱 「お芝居としての在り方を表現」
2022年05月13日 08:20
芸能
下地は歌子の歌の才能を知り、音楽の道に誘おうと接近。ずっと逃げられていたが、歌子の兄・賢秀(竜星涼)の騒動を受け、第22回(10日放送)で、ついに自分の目の前で歌子に歌曲「椰子の実」を歌わせるに至った。
松園氏は「あれは歌子が家族以外の人の前で初めて歌うシーンだった。歌子は人見知りの性格だが、家族のために勇気をふりしぼって歌う。現場で上白石さんとは『歌う前に家族と視線を交わし、家族の力を背中で受けて歌う』ということだけを話した。上白石さんはただ歌うのではなく、お芝居としての歌の在り方をちゃんと表現してくれて、私としては、それをきっちり撮るだけだった。歌声の美しさもさることながら、歌っているうちに伸びやかになっていくような、歌の中に自分が入っていくような表現が素敵だった」と語る。
歌子はこれまで「椰子の実」「芭蕉布」のほか、フォークグループ「赤い鳥」が歌った「翼をください」(1971年発売)や故加藤和彦さんと北山修氏のフォークソング「あの素晴しい愛をもう一度」(71年発売)を1人で歌っている。
松園氏は「上白石さんに、歌子だったらどのような歌い方をするのかという考えがあり、それを表現してくださっている。飾り気がなく素朴で、真っすぐな歌声で、そこにグッと来る。テレビを通しても素晴らしさが伝わっていると思うが、撮影現場で生歌を聞くとさらに素晴らしい」と明かす。
下地の尽力によって開眼した歌子は今後、音楽の道を目指すことになるとみられる。上白石の劇中歌を聞く機会が多々ありそうで、これからどんな曲を歌うのか、歌唱法は変化するのか、見どころの一つだ。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。