「鎌倉殿の13人」新垣結衣 前半の立役者!八重さん最多トレンド入りの大反響 三谷幸喜氏が救った初大河

2022年05月29日 20:45

芸能

「鎌倉殿の13人」新垣結衣 前半の立役者!八重さん最多トレンド入りの大反響 三谷幸喜氏が救った初大河
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第21話。北条義時の館。「あなたが一番大事」と金剛(森優理斗)を抱き締める八重(新垣結衣)(C)NHK Photo By 提供写真
 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は29日、第21話が放送され、大河初出演となった女優・新垣結衣(33)が新境地を開拓した主人公・北条義時(小栗)の妻・八重が天に召された。今作随一の癒やしの存在として大反響を呼び、21話中、登場人物最多となる12度のツイッター世界トレンド入り。ドラマ前半を牽引した立役者の1人となった。オンエア終了後、SNS上には悲しみの声があふれ返り、瞬く間に「八重さんロス」が広がった。
 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 八重は主人公・義時(小栗)の初恋の人。最初の夫・源頼朝(大泉洋)と父・伊東祐親(浅野和之)の間で板挟みとなったがゆえに最愛の息子・千鶴丸(太田恵晴)を失うなど、次々と悲運に見舞われた。しかし、どんな時も見守り続けてくれたのが幼なじみの義時。第13回(4月3日)のラスト、義時の一途な想いが八重の心を開いた。待ち焦がれた笑顔の「お帰りなさい」に、義時は男泣きした。

 第14話(4月10日)、八重は義時と夫婦になり、懐妊。鎌倉二分の危機に悩む夫を「小四郎殿にしかできないお働きがあるはずです」と励ました。

 第15話(4月17日)、1183年(寿永2年)、男児・金剛(後の北条泰時)を出産。上総広常(佐藤浩市)粛清の後、我が子を抱いた義時には、その泣き声が「武衛(広常が頼朝を呼ぶ時の尊称)」に聞こえ、戦慄した。

 第16話(4月24日)、義時は木曽義仲(青木崇高)討伐へ。八重は「道中、お気をつけて。あの子(金剛)のおかげで、もう一度、誰かのために生きようという気持ちになりました。私は大丈夫。あの子がいれば」と夫を見送り。義時が「金剛が大人になる頃には、安寧な世になっているのだろうか」とつぶやくと「小四郎殿に懸かっております。私はそう思います。まずは、ご無事でお帰りください」と勇気づけた。

 第17話(5月1日)、三浦義村(山本耕史)の娘・初も預かっており「子どもたちの世話をしていて考えたんです。鎌倉は立派になりましたが、捨て子や孤児も目にします。その子らを助けてやりたいのです。この地で、これからもむごい命のやり取りがあるのなら、私はせめて子どもを救いたいと思うのです」と自分の“使命”を見つけた。源義高(市川染五郎)の御所脱出も手伝い、自分と子どもたちに紛れた義高を名越の先の寺に連れていった。

 第18話(5月8日)、傷心の大姫(落井実結子)も預かり、習字を教えた。「これが大姫の『大』。これに、点を打つと『太姫』になります。文字とは面白いものですね」。鼻の下に墨も付けてみたが、大姫は笑わない。「やはり、心の戸を閉じてしまっておられます。色々やってみてはいるんですけど。無理やり戸を開けようとすると余計、閉じこもってしまう気がします。気長に参りましょう」と政子(小池栄子)を元気づけた。

 第19話(5月15日)、源義経(菅田将暉)との行き違いについて頼朝から相談されると「子どもたちからもよく、同じような悩みを打ち明けられます。仲直りしたいけど、できない。どうすればよいかと。でも子どもは、最後は仲直りします。相手を信じる気持ちが勝るから。それができぬのなら、子どもたちの方が利口です。説教か嫌味の他に、お伝えすることはございません」と忠告した。

 そして、第21話は「仏の眼差し」。義経(菅田)を失った奥州に攻め込み、藤原泰衡(山本浩司)を討ち取る源頼朝(大泉)。北条義時(小栗)畠山重忠(中川大志)らが在りし日の義経をしのぶ中、頼朝は毅然と上洛へ動き始める。一方、京の後白河法皇(西田敏行)は丹後局(鈴木京香)と今後の動静を憂慮し、来るべき日に備えていた。一方、鎌倉。八重(新垣)は子どもたちの世話に奔走。八重の明るい表情に、政子(小池)も目を細めるが…という展開。

 八重は川に取り残された鶴丸(佐藤遙灯)を救出。しかし、義村が目を離した一瞬、八重の姿がない。必死の捜索も、仁田忠常(ティモンディ・高岸宏行)が政子に無情の報告。義時は伊豆・願成就院におり、鎌倉を留守に。仏師・運慶(相島一之)が彫った阿弥陀如来像を見上げ「ふと、妻の顔を思い出してしまいました。息子の寝顔を見ている時の」――。

 序盤、夫・江間次郎(芹澤興人)に「舟を出しなさい」と命じる(第5話、2月6日)など、頼朝を想うがゆえの行動は表面的にはわがままにも映った八重だが、その奥にあったのは芯の強さ。時代に翻弄され、傷つきながらも意志を貫く気高さを体現し、定評のあるコメディエンヌぶりから一層、幅を広げる新境地を開拓した。

 制作統括の清水拓哉チーフ・プロデューサーも「新垣さんのお芝居は八重の芯の強さ、その裏腹の危なっかしい部分、そして切なさがビビッドに伝わってきます。大河出演が初めてとは思えない堂々たる姫ぶりで、素晴らしいの一言。新垣さんに八重を演じていただいて、本当によかったと思います」と絶賛してやまなかった。

 結婚後は笑顔が増え、義時にとっても視聴者にとっても不可欠な癒やしの存在となった。

 新垣は時代劇も本格初挑戦。3月下旬、取材会を行い「現場で初めてのことがたくさんあって、反省しかないので、成長できたかどうかは分からないですけど、経験としては一つ、自分の身になったかなと思います。所作は現代劇だったとしても動きが美しく見えるのかなと思ったり、お着物を着て過ごす時間は気持ちも締まるんです。そういうことは今後、どこかで生きるんじゃないかなと思います」と収穫を口にした。

 三谷氏からはアドバイスや感想も届き「これから作品に携わる時も、台詞の細かい意味まで大事にしていきたいなとあらためて思いましたし、うれしい感想もたくさん頂いて、とても励みになりました。反省ばかりなんですけど、『僕が思い描いた以上の八重さんになりました』というお言葉を頂けた時、本当に全部報われたといいますか、安心したといいますか。反省の気持ちは消えないんですけど、そういうふうにおっしゃっていただけて、本当によかったなと思いました」と打ち明けた。八重が義時に救われたように、新垣も三谷氏に救われた。

 八重の魅力については「頑固ですよね。言い方を変えると、意志が強い。自分の思いを忠実に行動に移すことができるのは一つ、八重さんのいいところでもあるのかなと思います。自分の大事なものをどんどん失っていってしまったので、自分の生きる意味をずっと探しているというか。ある意味、生きることへの執着、逞しさ、あきらめない力がある人だと捉えています」と強調。頼朝との仲を裂かれ、入水したという言い伝えもある八重だが、三谷氏は今回、単なる悲劇のヒロインにはしなかった。

 八重は義時を見守り続ける仏になったのか。
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