藤井棋聖 タイトル戦連勝13で止まった 苦手・永瀬王座に2度の千日手指し直しの末に…

2022年06月04日 05:00

芸能

藤井棋聖 タイトル戦連勝13で止まった 苦手・永瀬王座に2度の千日手指し直しの末に…
「第93期棋聖戦五番勝負第1局」千日手となり対局室から一旦引き上げる藤井聡太棋聖、永瀬拓矢王座(左)(代表撮影) Photo By 代表撮影
 【棋聖戦第1局 ( 2022年6月3日 )】 藤井聡太棋聖(19)=王将、竜王、王位、叡王含む5冠=が永瀬拓矢王座(29)の挑戦を受ける第93期棋聖戦5番勝負第1局は3日、兵庫県洲本市で指され、2度の千日手指し直しの末、藤井が114手で敗れた。終局は午後9時42分。タイトル戦で2度千日手になり、同日指し直すトリプルヘッダーは史上初。5月24日の第7期叡王戦第3局で達成した、歴代2位タイのタイトル戦の連勝は13でストップした。
 両手を膝にそろえ、「負けました」と頭を下げた。タイトル戦で投了の意思表示をするのは、昨年8月22日の叡王戦第4局以来9カ月半ぶり。全8冠中5冠を保持し、年中タイトル戦が絶えない藤井が負けてなお、強さを証明する光景だった。

 「全体として思わしい展開にできなかった。しっかり反省して次に臨みたい」

 午前9時、振り駒の結果藤井の先手で始まり相掛かりへ。「2歩得だったが、打った角が負担になってこちらが進展性のない選択をしてしまった」。66手目の午後4時17分、同一局面が4度現れる千日手になり、30分後の午後4時47分から指し直した。

 最初の指し直し局は角換わりへ進んだが午後5時38分、53手目で2度目の千日手に。2度目の指し直し局は午後6時8分、再び角換わりで始まった。

 藤井が四段時代から練習将棋を指す両者による初のタイトル戦。「楽しみだし、お互いに棋風も知っている。さらに工夫していかないと」。戦前の対戦成績は藤井の7勝3敗だが、直近は2連敗。前日の開幕式で語った意気込みを指し手で示し続けたが中盤、読みにない手が永瀬から繰り出され、劣勢を挽回できなかった。「1日3局指すのはレアケース。(第2局は)先手番を生かせるよう、準備したい」。永瀬は対藤井戦3連勝にも地に足を着け、次局を見据えた。

 タイトル戦での千日手2回は過去3度ある。40年の第2期名人戦第3局と94年の第63期棋聖戦第3局、そして台湾・台北開催だった02年、第15期竜王戦第1局。

 竜王戦は当時の羽生善治竜王に阿部隆七段が挑み、2日目の午後4時48分に1回目、午後9時51分に2回目の千日手が成立した。当日の指し直しは行わず無勝負として第2局を予定した宇都宮対局を第1局としたように、過去3度は全て後日指し直した。波乱の幕開けになった令和の6冠対決。第2局は15日、新潟市で指される。(筒崎 嘉一)

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