勝村政信 心に染みる恩師・蜷川幸雄氏の名言 「整合性とかっていう言葉に気持ち悪くなる」
2022年06月21日 11:55
芸能
蜷川氏が稽古で灰皿を投げたエピソードは有名だが、ある時の稽古では暗転の中で「ドカン!」という衝撃音がしたことがあったという。「蜷川さんの舞台って当時、すごく暗かったんですよ。完全暗転みたいな時に物を投げてくるんですよ」。蜷川氏が投げたのは、舞台で使う箱馬と呼ばれる木箱。蜷川氏は開成高野球部出身で、「コントロールには自信がある」と話していたそうだが、勝村は「結構当たってましたけどね」と明かした。
蜷川氏の元を離れた後、鴻上尚史氏の第三舞台に合流。ともに厳しい演出家で、勝村は「この人たちがOKしないと先に進めない。だから本番の方が楽でしたね。1回で済むし」と本音を口にした。
そんな勝村はある日、蜷川氏を「やっつけた」と思った瞬間があったという。「蜷川さんって主役の人に対しては一応気を遣って、耳元でみんなにあまり聞こえないようにダメ出しとか、リクエストをするんです。ある時、僕もちょっと上の方で使っていただいた時に、すっと横に来て、小さな声で“おう、俺ちょっとリクエストしたいんだよな”って。“これ、俺勝ったんじゃね?”みたいな」。蜷川氏の元に戻り、出演する舞台の稽古でのことだったそうで、「6、7年、口も聞かない、目も合わせないという時期があって、それを乗り越えて、それがあって。それから20年近く一緒にやってきました」としみじみ語った。
蜷川氏の言葉で、印象深いものがあるという。「“観念で飛ばすんだよ!観念で飛ばすんだよ!”って怒ってましたからね。それって名言だと思う」。演者として、分からない物事を想像で埋めていくことにより、爆発的なものが生まれることを期待していたという。勝村は「整合性とかっていう言葉を使い始めると、僕は気持ち悪くなる」と打ち明けた。
すると、火曜パーソナリティーのシンガーソングライター高橋優も共感。「これは響きますよ。僕も曲を書いているので、毎日毎日。全部が理論立ってたら、文章でいいじゃんってなるんです」と納得していた。