藤井棋聖 タイトル戦連敗なし 棋聖戦3連覇王手は節目の30勝
2022年07月05日 05:19
芸能
ニューバージョンとも言えそうな勝ち方だった。前例が無限に存在する角換わり腰掛け銀の戦型となり、開局後1時間35分で73手まで進むハイペースの進行。ここで藤井が相手左桂頭に歩を叩く。この新鮮な一手を見て、永瀬は84分の長考を強いられた。昼休み明けでの時間差は藤井のプラス80分。この大量リードは最終盤の熟考へと変換され、慌てる場面は一瞬たりともなかった。
直前の6月28、29日に行われた王位戦7番勝負開幕局。豊島将之九段(32)相手に封じ手時点で約3時間ものハンデを背負い、結果として終盤の粘りを発揮できずに敗れた。序中盤で持ち時間を湯水のごとく消費するのが聡太流とはいえ、やはりトップ棋士同士の対戦では苦しい。この日の戦い方は新たなスタイル誕生を予感させる。
3連覇に王手となり「スコアは気にせず、次戦もしっかり準備して臨みたい」と話した藤井。これでタイトル戦は節目の30勝(6敗)に達した。その高勝率はもちろん、一度も連敗がないというのも驚愕(きょうがく)以外にない。 (我満 晴朗)