藤井棋聖 タイトル戦連敗なし 棋聖戦3連覇王手は節目の30勝

2022年07月05日 05:19

芸能

藤井棋聖 タイトル戦連敗なし 棋聖戦3連覇王手は節目の30勝
第3局で永瀬拓矢王座に勝利し、感想戦で対局を振り返る藤井聡太棋聖 Photo By 代表撮影
 【第93期棋聖戦5番勝負・第3局 ( 2022年7月4日    千葉県木更津市・龍宮城スパホテル三日月 )】 将棋の第93期棋聖戦5番勝負は4日、千葉県木更津市の龍宮城スパホテル三日月で第3局を行い、先手の藤井聡太棋聖(19)=王将、竜王、王位、叡王含む5冠=が145手で挑戦者・永瀬拓矢王座(29)を下し、シリーズ成績2勝1敗で3連覇に王手をかけた。第4局は17日に名古屋市の亀岳林・万松寺で行われる。
 最後は美学を優先した。中盤から築いた優位を徐々に広げて迎えた終盤、永瀬の猛攻を受けながら藤井の王はするりと上部脱出を図る。挑戦者の迎撃が弾切れになって入王が確定。「最後は上に王が逃げて、少し余せる形になったかと」。つまり勝利をほぼ手中にしながらあえて攻撃を選択。詰め将棋のお手本のような詰め上がりで永瀬を投了させた午後7時14分、東京湾の西側に広がる夕焼けは盤面同様の美しさを見せていた。

 ニューバージョンとも言えそうな勝ち方だった。前例が無限に存在する角換わり腰掛け銀の戦型となり、開局後1時間35分で73手まで進むハイペースの進行。ここで藤井が相手左桂頭に歩を叩く。この新鮮な一手を見て、永瀬は84分の長考を強いられた。昼休み明けでの時間差は藤井のプラス80分。この大量リードは最終盤の熟考へと変換され、慌てる場面は一瞬たりともなかった。

 直前の6月28、29日に行われた王位戦7番勝負開幕局。豊島将之九段(32)相手に封じ手時点で約3時間ものハンデを背負い、結果として終盤の粘りを発揮できずに敗れた。序中盤で持ち時間を湯水のごとく消費するのが聡太流とはいえ、やはりトップ棋士同士の対戦では苦しい。この日の戦い方は新たなスタイル誕生を予感させる。

 3連覇に王手となり「スコアは気にせず、次戦もしっかり準備して臨みたい」と話した藤井。これでタイトル戦は節目の30勝(6敗)に達した。その高勝率はもちろん、一度も連敗がないというのも驚愕(きょうがく)以外にない。 (我満 晴朗)
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